研究課題/領域番号 |
15H01891
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
橋本 義則 山口大学, 人文学部, 教授 (60164802)
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研究分担者 |
小嶋 芳孝 金沢学院大学, 文学部, 特任教授 (10410367)
妹尾 達彦 中央大学, 文学部, 教授 (20163074)
國下 多美樹 龍谷大学, 文学部, 教授 (30644083)
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (50183067)
小田 裕樹 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (70416410)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 東アジア / 古代 / 都城 / 葬地 / 比較史 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究実績は、以下の通りである。 1.国際共同研究を推進するため、8月27・28日中国・陝西省西安市において第二回国際シンポジウム「東アジア古代の都城と墓葬」を開催した。中国社会科学院考古研究所・陝西省考古研究院の全面協力のもと、両機関との共同主催形式で、日中韓の研究分担者・協力者10名及び中国の関連分野研究者4名が報告し、参加の研究者らと討論を行うなど研究交流を行った。シンポジウムは二日間で延べ約120名の研究者の参加を得て盛況裏に終えた。なお、シンポジウムのために予稿集『東アジア古代都城と墓域』(日中韓3ヶ国語、総240ページ)を作成し、シンポジウム参加者などに配布した。 2.都城と葬地の踏査では、国際シンポジウム終了後、8月末から9月初旬にかけて、陝西省考古研究院の協力を得て、陝西省所在の唐皇帝陵全てを踏査した。それに備えて7月には科研組織外の研究者2名を招き、魏晋南北朝から唐の皇帝陵及び葬地に関する共同研究会を開催した。また、1月に開催した共同研究会では、唐皇帝陵などの踏査とともに昨年度実施した洛陽を中心とした都城と墓葬に関する踏査やローマにおける古代都市と墓葬に関する踏査などについて成果報告と討議を行った。 一方、国内における陵墓・葬地の踏査は、1月に奈良県南部地域、2月に奈良県西部地域、3月には大阪府河内地域において実施し、遺跡の所在確認、現状の把握などを行った。また2月の踏査に合わせて研究会を開催し、研究組織外の研究者1名を招き、日本の古墳時代終末期における陵墓・葬地に関する研究報告を聞き、討論を行った。 3.昨年度同様スキャナなどで、踏査及び研究に必要な図面や地図を中心に、関連する研究資料や図書のデジタルデータ化を進め、踏査や研究会にあたって利用したが、そのほとんどに著作権の問題があり、公開するには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究を実施するにあたって立てた研究計画に関して、以下の点からほぼ予定通りに進んでいると判断した。 1.国際共同研究にあたり、研究本格化の第二年度として、日本・中国・韓国の研究分担者や研究協力者とその所属機関からの協力のもと、中国社会科学院考古研究所及び陝西省考古研究院の全面的協力を得て、第二回の国際シンポジウム「東アジアの古代都城と墓葬」を開催できた。また、本年度実施した国内外での踏査において関係諸機関の絶大なる協力を得ることができ、古代都城遺跡と葬地・墓葬に関する踏査を予定通り無事終えることができた。また、30年度日本で実施予定のシンポジウムについても国内外の研究分担者・研究協力者の協力を得られることが約された。 2.他の研究分野との研究交流については、中国古代・中世史及び日本考古学古墳時代専門の研究者と共同研究会を持つことができ、その成果を踏まえて国内外での踏査を問題なく実施できた。 3.A1サイズの資料を読み込めるフラットヘッドスキャナーを導入して実施した、踏査及び研究に必要な図面や地図、書籍などのデジタルデータ化は順調に進んだが、それらの踏査のみならず具体的な研究における利用を今後一層進める必要がある。 4.踏査の際に撮影された写真や踏査の日誌、研究会の内容・様子やその際配布された資料などの公開については一部未発表資料などを含んでいたため公開を実現できなかったが、今後共同研究の内容公開について一層の努力をはかりたい。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究に当たって立てた研究計画に関して、以下のように一層の推進をはかりたい。 1.国際共同研究について、28・29年度の韓国及び中国での国際シンポジウムの実績を踏まえ、30年度に日本においてよりレベルアップした研究報告と討論を展開し、一層の推進を図りたい。また、今後開催する共同研究会や遺跡踏査の際に可能な限り共同研究者間での直接的対話・検討を進めたい。そのためにはまず遺跡のある現地を実地に踏査し検討することを重視して行きたい。また、研究分担者や研究協力者とその所属機関、特に中国 ・韓国の研究協力者とその所属機関から得られた協力関係を研究推進のための基盤とし、一層の研究交流・協力、そしてその根本にある信頼関係の深化・醸成を進めたい。また、他の研究領域・分野の研究成果と課題を知るべく、それらの分野の研究者との共同研究会の開催及び研究交流を図りたい。 2.A1サイズの資料を読み込めるフラットヘッドスキャナーや以前採択された科研で購入し使用していたA3サイズのスキャナーなどを駈使して、今後も収集資料や書籍のデジタル化を推進し、単にデータとして蓄積するだけでなく、踏査及び研究での利用を一層進めてゆきたい。そのためには共同研究者内で巨大なデータの速やかかつ安全な共有が必要であり、様々な方法を試みたい。 3.踏査の際に撮影された写真や踏査の日誌、研究会の内容・様子やその際配布された資料などの公開については未発表資料などを含んでいたため公開を実現できなかったが、今後共同研究の内容公開に当たって一層公開に向けた努力をはかり、そのためにまずWebペー ジの充実と速報性を重視したい。その上で可能な限り資料などの公開を進めたい。
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