研究課題/領域番号 |
15H01895
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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研究分担者 |
秋葉 淳 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (00375601)
小笠原 弘幸 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (40542626)
二宮 文子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (40571550)
清水 和裕 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (70274404)
真下 裕之 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70303899)
後藤 裕加子 関西学院大学, 文学部, 教授 (80351724)
高松 洋一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (90376822)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アジア・アフリカ史 / 近世イスラーム帝国 / レジティマシー |
研究実績の概要 |
・本年度は、系譜関係を検討課題に加えた。いくかの王朝は、出自と血統を保証する系譜が存在したが、この系譜が、王権の正統性とどのようなかかわりがあったかを考察した。具体的には、預言者やチンギス・ハーンの血統や、先行する王朝の血筋などがイスラーム国家というイデオロギーと複雑な形で結びついていることが明らかとなった。 ・上海外国語大学の程トウ氏を招聘し、イルハン朝からサファヴィー朝にかけての正統性についての研究会を開催した。氏は中国語でこの問題についての単著《“正統概念とイランのシーア派》があり、その内容を把握し、議論できたことは意義深かった。 ・この分野で幅広い知識を持つ大家のBert Fragner氏(在ウィーン)を招聘し、セミナー「ナショナル/コロニアルな記憶としての食――イランとインド」、若手研究者を中心とした国際ワークショップInternational Workshop From the Mongols to the post-Safavids、東洋文庫での講演会を開催した。特に若手研究者のワークショップは、氏の的確なコメントを受けて、それぞれの研究の今後の飛躍が期待できる内容であった。 ・Association for the Study of the Persianate Societiesのコンベンション大会(2018年3月、トビリシで開催)に二つのパネルを組織した。この二つのパネルは大会中最高の評価をえて、複数の方から学術雑誌への寄稿を依頼された。本課題が、国際的に見ても高度な研究水準にあることを示すとともに、今後の研究の方向性についても重要な示唆を受けた。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・2016年度にイランで開催予定であったペルシア語文化圏国際学会大会へのパネル参加が、トランプ政権の新政策によって、大会中止のため、不可能になったが、2017年には延期されたトビリシ大会に、無事、パネル参加することができ、しかも、大会中、極めて高い評価を受けた。これまで国内で培ってきた研究成果が、国際的にみても高い水準にあることが明らかとなり、研究計画が順調に進んでいることを示している。 ・研究代表者の英文単著を含め、これまでに発表された業績は、質量ともに予定を上回っている。この意味でも、研究計画は順調に進んでいる。 ・昨年度は、国内シンポジウムを開催することができなかった。代表者、分担者、協力者が他の業務に追われ、日程を合わせることができなかったためである。ただ、それぞれは、国内外の学会で関連するテーマで報告しており、研究全体の進行上、問題はない。他の業務の増大や若手研究者の減少は、本課題の遂行の妨げとなっているが、これは社会的な問題でもあり、やむをえないことであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
・これまでさまざまな角度から研究してきたイスラーム諸国家の正統性に関して、研究内容の統合・理論化を進め、まとまった研究成果となるよう、研究を進める。 ・国内学界むけ 2018年度は、10月のオリエント学会でパネルセッションを組織する。 2019年度は、最終の国内シンポジウムを開催する。平行して、和文論文集の準備を進める。従来の日本語の概説書を批判し、新たな研究の地平を開く、野心的な著作をめざす。 ・海外学界むけ 2018年度は、12月に国際シンポジウムを開催し、これまでの研究成果を海外の研究者の前で、披露する。海外の第一線の研究者と国内の若手研究者を中心に組織する。トビリシでの学会の成果は、2019年2月締め切りのJournal of Persianate Studiesでの特集号の形でまとめる。
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