研究課題/領域番号 |
15H01899
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高瀬 克範 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00347254)
|
研究分担者 |
手塚 薫 北海学園大学, 人文学部, 教授 (40222145)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
増田 隆一 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80192748)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 千島アイヌ / 千島列島 / カムチャツカ半島 / サハリン / 考古学 / 先史学 |
研究実績の概要 |
海外研究機関(ロシア・サハリン郷土博物館,米国ワシントン大学)と共同で,千島列島北部の占守島において動物骨回収を主たる目的とした考古学的発掘調査を実施した(2016年8月8日~9月6日)。おもな調査地は,占守島西部の別飛・片岡地区であり,このほか島北端の国端崎でも補足的な調査を実施した。第二次世界大戦中の軍による活動で遺跡が大きなダメージをうけていることが懸念されたが,滞在中,9遺跡27箇所の試掘坑を発掘調査し,うち13箇所から良好な動物骨資料を回収することができた。発掘終了後,すべての資料をサハリン州郷土博物館に送付し,同館で乾燥・保管している状況にある。平成28年度はこのフィールドワークに予算の大半を使用したため(旅費のみならずカムチャツカ・占守島間の船のチャーター料を含む),回収された資料の本格的な整理・分析は次年度以降に実施する。年代測定用試料・土壌サンプルの基本台帳はサハリン郷土博物館の研究協力者の手によって作成済であるが,もっとも量が多い動物骨については台帳が未整備である。したがって,次年度はまず動物骨の台帳を作成したのちに,各種の分析(同定,年代測定,遺伝子,組成など)に着手する予定である。 ラボワークとして,アミノ酸を用いたカムチャツカ半島出土動物骨の同定を試行したほか,カムチャツカ出土ヒグマのDNA分析を実施した。すでに実施済みのシュムシュ島出土イヌのDNA分析結果は,公表の準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去2年間で予定していたカムチャツカ半島および北千島での野外調査の双方を終了し,相当な量の新資料を回収することができた。その他のラボワークも,大きな支障なく進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
占守島(2016年)の野外調査でえられた資料の基本台帳作りをおこなったうえで,年代測定による各遺跡・文化層の年代決定,動物骨の同定(アミノ酸を用いた試行的検討を含む)・組成分析・DNA分析,および珪藻分析を進める。これらによって,北千島における経済変化や自然災害と人類の関係史にかかわる情報が得られることが期待される。このほか,民具の地域間比較,基礎的な文献調査や,本研究の意義に関する理論的考察(島嶼生物地理学理論からの評価や他地域との比較研究など)を継続的に実施する。
|