研究課題/領域番号 |
15H01900
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福永 伸哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50189958)
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研究分担者 |
高橋 照彦 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10249906)
荒川 正晴 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10283699)
佐々木 憲一 明治大学, 文学部, 教授 (20318661)
黄 暁芬 東亜大学, 人間科学部, 教授 (20330722)
中久保 辰夫 大阪大学, 文学研究科, 助教 (30609483)
高宮 いづみ 近畿大学, 文芸学部, 教授 (70221512)
岡村 勝行 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、, その他部局等, その他 (70344356)
門林 理恵子 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (70358886)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 古墳 / 墳丘墓 / データベース / 国際比較 / 万籟山古墳 |
研究実績の概要 |
(1)テーマ研究等の推進 研究目的に沿って設置した4つのテーマグループ(G1~G4)ごとに課題を設定して研究活動を進めた。<G1/墳丘墓国際比較>国際シンポジウムや研究集会において比較考古学的な議論を重ね、墳丘築造の意義が、日本と欧州で大きく異なっているとの見通しを得るに至った。<G2/3Dデータベース>40件のデータベース作成し、Web運用を試行する予定であったが、年度後半になって大阪府下の古墳三次元データを、提供していただけることとなったため、そのデジタル形式に適合するWebシステムを設計し直すこととした。このため、Webシステム設計・構築・運用開始にかかる経費150万円を今年度は未使用とした。<G3/猪名川プロジェクト>平成28年2月~3月にかけて宝塚市万籟山古墳・八州嶺古墳の測量・表面調査を実施。その結果、前者は従来54m程度とされていた墳丘長がさらに大きくなること、後者は広範囲に古相の円筒埴輪が採集され、墳丘長50m以上の未知の前方後円墳である可能性が高いことが判明するなど、大きな成果を得た。<G4/ヘリテージマネジメント>日本、欧州、中国、韓国などの事例の実態調査を行った。 (2)研究集会の開催 3回の研究集会を開催(5、12、2月)。集会には5月Simon Kaner博士(英国)、2月禹在柄博士(韓国)を招き、本研究テーマにかかわる招待講演を実施した。 (3)成果外部発信 11月4日~6日に独テュービンゲン大学で国際シンポジウム'Burial Mounds in Europe and Japan: Comparative and Contextual Perspectives'を開催。日独英仏米5カ国の研究者が研究報告と討論を行い、本科研テーマを国際共同研究に発展させる大きな基礎を築いた。11月14日には、大阪大学において「百舌鳥・古市古墳群と古代日韓関係」と題する日韓国際シンポジウムを開催し、日本古墳時代と韓国三国時代の墳丘墓築造と文化交流について、一般市民を含めた社会への成果発信を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの研究テーマグループの個別研究、フィールド調査などは、当初予定通りに順調に遂行できている。さらに成果の国際発信では、日本古墳研究としては過去に例のない3日間に及ぶ海外シンポジウムを実施し、国際共同研究として開拓すべき多数の論点を得ることができた。古墳の三次元データベースについては、当初予定の試験的Web公開にまでは至らなかったが、年度途中で重要な古墳のデジタルデータの提供を受けられるという状況変化によりWeb設計をやり直すことにしたためであり、より質の高いデータベースの作成公開を目指した積極的な計画変更である。このため、当初計上したWebシステム設計・構築・運用開始にかかる経費150万円を今年度は未使用とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの第2年目に当たる平成28年度も、当初計画通りの活動を推進していく。とくに本研究の中心的作業である墳丘墓築造の国際比較研究については、平成28年6月の東アジア考古学会(ボストン大)、8月の世界考古学会議(同志社大学)などで、本科研を基礎に立ち上げるセッションを通じて議論を深めるとともに、積極的な成果の国際発信につとめる。年度後半に計画している宝塚市万籟山古墳、新発見の八州嶺古墳の調査は、古墳前期の地域動向の理解にあらたな展望を与えることが期待されるため、地域の文化遺産としての社会的活用にも十分留意しながら、調査研究成果を広く公表・発信していきたい。
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