研究課題/領域番号 |
15H01924
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中原 太郎 東北大学, 法学研究科, 准教授 (60401014)
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研究分担者 |
田中 洋 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (10456767)
山本 周平 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10520306)
荻野 奈緒 同志社大学, 法学部, 准教授 (30546669)
大澤 逸平 専修大学, 法務研究科, 准教授 (40580387)
齋藤 哲志 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50401013)
長野 史寛 京都大学, 法学研究科, 准教授 (60551463)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 民事責任 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / ドイツ:フランス |
研究実績の概要 |
初年度にあたる平成27年度は、全体会合を9月(東京)と3月(札幌)の2回に分けて開催し、各研究者が本科研費で取り組むべき現代独仏民事責任法の具体的課題を確認した。また、同時に全体研究会を開催し、9月の研究会では代表者である中原が、本科研の趣旨の確認も兼ねつつ、「独仏民事責任法研究の現状と課題」と題する基調報告を行い、3月の研究会では2名の分担者・連携研究者が、各人の今年度の成果報告の意味も込めて、ドイツ不法行為法の具体的なテーマ(ドイツ不法行為法の基本構造、利益剥奪責任)について報告を行い(さらにゲスト1名を招きフランス国家賠償責任法に関する報告を提供してもらった)、それぞれにおいて参加者の間で活発な意見交換をした。若手研究者の研究交流の推進をも目的とする本科研の趣旨に沿うべく、3月の研究会では代表者・分担者以外の多くの研究者の参加も得た。なお、応募時の申請額よりも交付額が大幅に減ったため、各班研究会は基本的には全体研究会に吸収することにした(平成28年度以降も同様の扱いとする予定である)。 個人レベルでは、交付内定時より各人の問題意識に沿った研究を進め、すでに多くの業績(研究発表)を公表することができた。この中には、フランス語ないしドイツ語により海外の出版物に掲載したもの、また国際学会において発表したものも多く含まれ、独仏民事責任法に照らした日本法の独自性を発信するという本科研の主要目的の基礎を構築するものといえる。もっとも、現時点で公表された業績は、日本語文献も含め、代表者・分担者のこれまでの研究実績の延長線上にあるものが多く、ヨーロッパの法統一動向等から析出される具体的テーマについての成果発表は、平成28年度以降の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体会合及び全体研究会により、すでに各研究者が取り組むべき具体的課題が確認され、各人においてその検討が進められているほか、一部ではあるがすでに日本語・外国語での成果の発表・公表が開始されているゆえ、当初研究目的は順調に進展しているといってよい。 また、今後の展開に向けた基盤構築も十分に行われている。独仏民事責任法の現代的動向を扱う本研究課題においては、海外研究者との連携が非常に重要であるところ、代表者・分担者は出張やこれまでの在外研究により海外の主要研究者と密接な研究交流を重ねており、数名の海外研究協力者(パトリス・ジュルダン教授、ジャン=セバスティアン・ボルゲッティ教授、ヨナス・クネチュ教授等)との間では、平成28年度以降の招聘計画を具体的に協議する段階にまで至っている。さらに、近時のわが国の民法学において民事責任法(とりわけ不法行為法)は大きな注目を集めている分野であるところ、その立法的課題に関し、すでに平成27年度において代表者・分担者のうち数名が具体的な研究成果を示すことができたほか、本科研費の分担者には含まれていない多くの有力な若手研究者との間で、連携研究者としての協力を得る旨の合意が形成されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降は、引き続き、全体会合及び全体研究会を活発に行い、各自の具体的研究課題の成果の共有と意見交換を積極的に行うほか、研究テーマ・問題意識の近い研究者相互の協力体制も推進し、必要に応じて独立の研究班として先端的な研究を推進することも念頭に置く。なお、平成28年度から根本尚徳(北海道大学)が研究分担者として参画し、より重厚な研究協力体制を築く。 ただし、独仏民事責任法の現代的課題は極めて多様であり、また代表者・分担者のこれまでの研究実績に照らし、その迅速・適切な把握が困難なテーマも存在する。こうした問題点をカバーするために、また広範な研究ネットワークを形成しておくために、海外研究協力者を日本に招聘して、独仏民事責任法の現状について情報提供をしてもらうことが不可欠である。当初研究計画では海外研究協力者の招聘は平成29年度以降としていたが、予算が許す限りにおいて、平成28年度から招聘を行い、中規模のセミナーの形で代表者・分担者・連携研究者と活発な意見交換を行うことにしたい。さしあたり平成28年度は、代表者との交流が深いフランスの研究者(ヨーロッパの法統一動向を念頭に古典的な立場の維持可能性を探る者、ドイツ法との比較研究に造詣が深い者等)の招聘を予定している。また、引き続き、国内の外部研究者との連携を強め、全体研究会への参加を請うとともに、必要に応じて具体的な研究テーマに関する報告を依頼し、問題意識の涵養・共有を図る。
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