• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

現代独仏民事責任法の融合研究―日本法の再定位を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 15H01924
研究機関東北大学

研究代表者

中原 太郎  東北大学, 法学研究科, 准教授 (60401014)

研究分担者 田中 洋  神戸大学, 法学研究科, 准教授 (10456767)
山本 周平  北海道大学, 法学研究科, 准教授 (10520306)
根本 尚徳  北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 講師 (30386528)
荻野 奈緒  同志社大学, 法学部, 准教授 (30546669)
大澤 逸平  専修大学, 法務研究科, 准教授 (40580387)
齋藤 哲志  東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (50401013)
長野 史寛  京都大学, 法学研究科, 准教授 (60551463)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード民事責任
研究実績の概要

3年目にあたる平成29年度は、研究分担者のうち3名が在外研究を遂行していることから、全体会合は3月の1回にとどめ、各研究者における現代独仏民事責任法の具体的課題に関する研究の推進に重点を置いた。3月の全体会合及び全体研究会では、各研究者における中間的成果の共有を行い、平成30年度以降の本研究課題の推進及び成果発表のあり方について意見交換を行った。また、同じ機会に、海外研究協力者であるアンドレ・ヤンゼン教授(香港市立大学)及びアレクザンドラ・インドラ・ザイフェルト弁護士に、 「民法における利益吐出し」及び「21世紀のドイツ民法に対する比較法の意義」について報告をしてもらい、活発な議論を行った(前者はドイツ・フランスの両国で近時飛躍的に重要性を増し、ヨーロッパ・レベルでの動向も活発なテーマであり、また後者は本研究課題の核心に関わる根源的なテーマである)。また、若手研究者の研究交流の推進をも目的とする本科研の趣旨に沿うべく、前年度に引き続き、代表者・分担者以外の多くの研究者の参加を得た。
個人レベルでは、各人の問題意識に沿った研究を進め、前々年度・前年度に引き続き、今年度も多くの業績を公表することができた(特に、研究代表者としては、本科研の重要テーマであり、ドイツ法との比較を踏まえフランス法において近時盛んに論じられている被侵害利益論を扱った論文を公表できたことの意義は大きいと考えている)。この中には、雑誌論文・図書のみならず、外国での学会発表等も含まれ、独仏民事責任法に照らした日本法の独自性を発信するという本科研の主要目的が着実に実現されつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体会合及び全体研究会により、各研究者が取り組むべき具体的課題の確認と中間成果の共有が図られ、各人においてその検討が進められているほか、日本語・外国語での成果の発表・公表が順次なされており、本科研の研究目的は順調に進展している。
独仏民事責任法の現代的動向を扱う本研究課題においては、海外研究者との連携が非常に重要であり、開始年度より具体的計画を協議してきたところ、今年度においては、アンドレ・ヤンゼン教授(香港市立大学)等の招聘を実現し、ドイツ法・ヨーロッパ法の最新動向及びそれらの基層について有意義な情報共有・意見交換をすることができた。これらの講演原稿は、その翻訳を公表予定であり、学会全体での成果共有も進められている。また、開始年度から引き続き、本科研の分担者には含まれていない有力な若手研究者との間で、連携研究者としての協力を得る旨の合意が形成され、本科研の研究会の規模は順調に拡大しつつある。

今後の研究の推進方策

平成30年度以降は、引き続き、全体会合及び全体研究会を活発に行い、各自の具体的研究課題の成果の共有と意見交換を積極的に行うほか、研究テーマ・問題意識の近い研究者相互の協力体制も推進し、必要に応じて独立の研究班として先端的な研究を推進することも念頭に置く。なお、前々年度より研究分担者の山本周平(北海道大学)、前年度より研究分担者の大澤逸平(専修大学)・長野史寛(京都大学)、今年度より研究分担者の齋藤哲志(東京大学)がドイツ又はフランスでの在外研究をスタートさせ、各国法の最新動向に関する情報共有を行うとともに、海外研究者とのさらなる連携強化を図る予定である。
独仏民事責任法の現代的課題は極めて多様であり、また代表者・分担者のこれまでの研究実績に照らし、その迅速・適切な把握が困難なテーマも存在することから、海外研究協力者を日本に招聘し、独仏民事責任法の現状について情報提供をしてもらうことは、前々年度・前年度に引き続き本科研の重要な課題である。前年度はドイツの研究者の招聘を行ったところ、今年度においては、フランス法及びドイツ法の双方に造詣の深いジャン・セバスティアン=ボルゲッティ教授(パリ第2大学)の招聘を計画しているほか、不法行為責任のみならず契約責任にも視野を広げてフランス・ドイツの研究者の招聘を考え、前々年度・前年度と同様、中規模のセミナーの形で本科研メンバーとの意見交換を行いたい。また、引き続き、国内の外部研究者との連携を強め、全体研究会への参加を請うとともに、必要に応じて具体的な研究テーマに関する報告を依頼し、問題意識の涵養・共有を図る。

  • 研究成果

    (30件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (20件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (5件) 学会・シンポジウム開催 (2件)

  • [雑誌論文] 数量に関する契約不適合と損害賠償の内容2018

    • 著者名/発表者名
      田中洋
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 90巻2号 ページ: 128-132

  • [雑誌論文] 民法学のなやみ-「民法理論の対話と創造」を振り返って-(下)2018

    • 著者名/発表者名
      藤澤治奈=白石大=荻野奈緒=齋藤由起=髙秀成=水津太郎=鳥山泰志=根本尚徳=伊藤栄寿=山城一真
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 90巻2号 ページ: 105-115

  • [雑誌論文] 検索事業者に対し,自己のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋を検索結果から削除することを求めることができる場合(最判平成29年1月31日民集71巻1号63頁)2018

    • 著者名/発表者名
      根本尚徳
    • 雑誌名

      民商法雑誌

      巻: 154巻1号 ページ: 150-172

  • [雑誌論文] 民法学の出発点としての条文-177条の「第三者」の解釈をめぐる判例と学説との協働-2018

    • 著者名/発表者名
      根本尚徳
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 451号 ページ: 18-25

  • [雑誌論文] 私立大学の入学試験に際して行われる情宣活動の差止めが認められた事例(東京高判平成27年1月28日判例時報2309号131頁)2018

    • 著者名/発表者名
      根本尚徳
    • 雑誌名

      新・判例解説Watch

      巻: 22号 ページ: 81-84

  • [雑誌論文] 座談会 インターネット上の表現に関する名誉毀損訴訟・発信者情報開示訴訟2017

    • 著者名/発表者名
      道垣内弘人=山本和彦=小粥太郎=中原太郎=岸日出夫=山田真紀=朝倉佳秀=武部知子
    • 雑誌名

      論究ジュリスト

      巻: 21号 ページ: 110-133

  • [雑誌論文] 資料 フランス民事責任法改正に関する2つの草案(カタラ草案・テレ草案・規定対照表)2017

    • 著者名/発表者名
      中原太郎
    • 雑誌名

      法学

      巻: 81巻1号 ページ: 24-55

  • [雑誌論文] 移転的取引操作-債権譲渡、債務引受、弁済による代位2017

    • 著者名/発表者名
      中原太郎
    • 雑誌名

      論究ジュリスト

      巻: 22号 ページ: 208-211

  • [雑誌論文] 債権譲与-"日本法主義"及其現状2017

    • 著者名/発表者名
      中原太郎
    • 雑誌名

      中日民商法研究

      巻: 16巻 ページ: 33-53

  • [雑誌論文] 不法行為責任における利益の階層性-フランス法主義の行方2017

    • 著者名/発表者名
      中原太郎
    • 雑誌名

      日仏法学

      巻: 29号 ページ: 65-96

  • [雑誌論文] 債権者の担保保存義務2017

    • 著者名/発表者名
      中原太郎
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 90巻1号 ページ: 126-130

  • [雑誌論文] フランスにおける契約侵害論の構造(上)―契約侵害論の再構築に向けて2017

    • 著者名/発表者名
      荻野奈緒
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 89巻8号 ページ: 96-101

  • [雑誌論文] フランスにおける契約侵害論の構造(下)―契約侵害論の再構築に向けて2017

    • 著者名/発表者名
      荻野奈緒
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 89巻9号 ページ: 115-120

  • [雑誌論文] ルネ・ドゥモーグと「パンドラの箱」―契約不履行に関与した第三者の責任に関する議論を素材として―2017

    • 著者名/発表者名
      荻野奈緒
    • 雑誌名

      日仏法学

      巻: 29号 ページ: 39-64

  • [雑誌論文] 企画の趣旨[特別企画 日仏債権法の現在]2017

    • 著者名/発表者名
      幡野弘樹・齋藤哲志
    • 雑誌名

      論究ジュリスト

      巻: 22号 ページ: 190-191

  • [雑誌論文] 弁済・相殺2017

    • 著者名/発表者名
      齋藤哲志
    • 雑誌名

      論究ジュリスト

      巻: 22号 ページ: 216-219

  • [雑誌論文] 〈立法紹介〉離婚・夫婦財産:家族法の簡素化及び現代化に関する2015年10月15日のオルドナンス第1288号2017

    • 著者名/発表者名
      齋藤哲志
    • 雑誌名

      日仏法学

      巻: 29号 ページ: 169-180

  • [雑誌論文] 日本における民法(債権法)の改正―改正の背景と主要な改正点の概要―2017

    • 著者名/発表者名
      田中洋
    • 雑誌名

      神戸法学年報

      巻: 30号 ページ: 5-27

  • [雑誌論文] 民法学のなやみ-「民法理論の対話と創造」を振り返って-(上)2017

    • 著者名/発表者名
      藤澤治奈=白石大=荻野奈緒=齋藤由起=髙秀成=水津太郎=鳥山泰志=根本尚徳=伊藤栄寿=山城一真
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 90巻1号 ページ: 101-111

  • [雑誌論文] Das Recht auf Vergessenwerden aus japanischer Sicht2017

    • 著者名/発表者名
      Fumihiro NAGANO
    • 雑誌名

      Ritsumeikan Law Review

      巻: 35号 ページ: 185-192

  • [学会発表] 日本における民商法の関係2018

    • 著者名/発表者名
      中原太郎
    • 学会等名
      第7回日台アジア未来フォーラム・プログラム/第5回台北大学飛鳶法学国際学術シンポジウム「台・日・韓における重要法制度の比較-憲法と民法を中心として」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 安全配慮義務論の行方-民法(債権法)改正の一断面2018

    • 著者名/発表者名
      中原太郎
    • 学会等名
      中日民商法研究会第16期大会
    • 国際学会
  • [学会発表] Vulnerabilites des personnes agees au Japon : quelles protections civiles ?2018

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi SAITO et Aya OHSAWA
    • 学会等名
      Regards croises en France et au Japon sur les consequences juridiques et sociales du vieillissement
    • 国際学会
  • [図書] 社会の変容と民法の課題(上巻)2018

    • 著者名/発表者名
      齋藤哲志、松久三四彦(編)、池田雅則(編)、後藤巻則(編)、新堂明子(編)、金山直樹(編)、大島梨沙(編)、水野謙(編)
    • 総ページ数
      618(85~116)
    • 出版者
      成文堂
    • ISBN
      9784792327095
  • [図書] 社会の変容と民法の課題(下巻)2018

    • 著者名/発表者名
      山本周平、松久三四彦(編)、池田雅則(編)、後藤巻則(編)、新堂明子(編)、金山直樹(編)、大島梨沙(編)、水野謙(編)
    • 総ページ数
      765(393~415)
    • 出版者
      成文堂
    • ISBN
      9784792327101
  • [図書] 環境リスクへの法的対応-日仏の視線の交錯2017

    • 著者名/発表者名
      中原太郎、吉田克己(編)、マチルド・オートロー=ブトネ(編)、エヴ・トルイエ=マランゴ、大塚直、マリー・ラムルゥ、サンドリーヌ・マルジャンー=デュボワ、ロラン・ネイレ、大坂恵里、小野寺倫子
    • 総ページ数
      xiv + 174(9~28、73~87)
    • 出版者
      成文堂
    • ISBN
      9784792326999
  • [図書] 判例30!民法4債権各論2017

    • 著者名/発表者名
      中原太郎、幡野弘樹、丸山絵美子、吉永一行
    • 総ページ数
      x + 125
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      9784641137790
  • [図書] 早稲田民法学の現在2017

    • 著者名/発表者名
      根本尚徳、浦川道太郎先生・内田勝一先生・鎌田薫先生古稀記念論文集編集委員会(編)
    • 総ページ数
      vii + 783(439~466)
    • 出版者
      成文堂
    • ISBN
      9784792327040
  • [学会・シンポジウム開催] 民法における利益吐出し-現状と将来像-2018

  • [学会・シンポジウム開催] 21世紀のドイツ民法に対する比較法の意義2018

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi