研究課題
本研究は、予算編成や財政健全化ルールのあり方を解明して、ミクロ予算情報とマクロ予算制約の対応を検証した。また、リスク要因を明示し、平時と非常時それぞれの民間経済主体の政治的活動や政府・財政当局の行動とマクロの財政制度や財政運営との相克を対象として、財政危機対応を規範的に分析した。さらに、国際機関や国際協調による財政支援を国際公共財の概念で分析し、国際的に財政規律が有効に働く仕組みを定性的かつ定量的に検討した。人々、情報、資金が自由に移動している中で、受益と負担の乖離がもたらすただ乗り、均衡の不安定性、複数均衡の可能性などに注目して、財政赤字累増や財政危機の波及効果を考察した。多様な経済主体を包括する財政制度のもとで財政支出や課税・再分配政策が決定される複雑な帰結を、ミクロ財政変数からマクロ指標への対応とみなして、様々なミクロ政治経済活動の調整の場である財政制度を総合的、包括的に分析したのが、本研究の大きな特色である。複数のミクロ経済主体・財政変数とマクロ財政指標・制度の相互依存関係を解明することで、財政赤字累増の規範的意味と財政健全化の制度設計をより明確に考察でき、これまでの枠を越えた新しい成果が得られた。具体的には、利益団体の既得権獲得行動が正常財である政治状況では、不況期でも財政健全化を進めることが正当化され得る。財政再建に向けた財政規律にコミットするのが、利己的に行動する利益団体の利害に合致することもある点が導出された。また、国際的財政危機の対応では、他国からの波及効果で所得効果が負になりやすく、複数均衡やコーナー解が生じやすい。こうした状況での利害調整では、期待の自己実現や良い均衡への移動などの視点で新たな政策的な含意が得られた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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