研究課題/領域番号 |
15H01979
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
堀越 勝 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, センター長 (60344850)
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研究分担者 |
小西 聖子 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30251557)
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (20510382)
高岸 百合子 駿河台大学, 心理学部, 講師 (40578564)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心的外傷後ストレス障害 / 認知処理療法 / 集団療法 / 脳画像 / 治療機序 / PTSD / 尺度 |
研究実績の概要 |
本研究は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する治療とケアの向上を目的として、認知処理療法(Cognitive Processing Therapy; CPT)について3つの研究を行う。研究の中心は個人版CPTのランダム化比較試験である。加えて、集団版CPTの前後比較臨床試験と、CPTを幅広い対象に広めるための心理教育マテリアルの開発を試みる。具体的な目的は5点ある。(1)評価者盲検ランダム化比較試験によるPTSDに対する個人CPTの有効性の検討, (2)治療プロセスデータの解析による個人CPTの治療機序の解明, (3)個人CPTの有効性に関与する神経基盤と治療反応性を予測する神経マーカーの同定, (4)前後比較試験による集団版CPTの実施可能性、安全性、有効性の検討, (5)CPTの簡易版心理教育マテリアルの開発とその有効性の検討である。(1)は、平成28年4月1日から臨床試験を開始し、本年度に6例を登録した。臨床試験の運用として、手順書の作成と更新を続けた。手順書に則り、かつ、当センター臨床研究推進部の支援を得て、年に二回の中央モニタリング、最初の3症例に対する施設モニタリングを実施した。介入治療のアドヒアランスを高めるために、米国の共同研究者(Patricia A. Resick博士)からのコンサルテーションを円滑にするシステムの構築を進めた。さらに、リクルート促進のために、サイトでの広報のほか、精神保健福祉センターなどに訪問し研究の紹介を行った。さらに、治療における毎回のセッションで用いられるPTSD Checklist-5の標準化等のために、大規模なインターネット調査を行った。(3)は臨床試験を進める中で、データを蓄積した。(4)は、集団版CPTの臨床試験を継続し、新たに1クールを実施した。(5)は、性被害を受けた方を対象としてプログラムを試作し、その臨床応用を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床試験のリクルートペースは当初予定していたよりも大幅に遅れているものの、評価、介入、コーディネート、モニタリングなど、細やかな手順書を作成し、厳密に臨床試験を進めることにはある程度成功できていると考えられる。また、インターネットを通した大規模な観察研究により、PCL-5の信頼性と妥当性を検証するとともに、今後、さまざまな観点からPTSDを理解するためのデータが得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、実施施設における継続した広報のほか、近隣の病院や診療所への研究の告知を行い、リクルートペースを高めるよう努力する。また、研究メンバーの役割を再整理し、より効率的な試験運用を行う。
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