研究課題
我々が開発した化学的転写法では、シリコンウェーハを過酸化水素水+フッ化水素酸水溶液に浸漬し、ローラーに装着した白金触媒体を接触するだけで瞬時に表面化学反応が起こりシリコンナノクリスタル層が形成される結果、3%以下の極低反射率を得ることができる。シリコンナノクリスタル層の空孔率は、表面領域では約90%と非常に高く、深さと共に単調に減少して界面近傍ではほぼ零となることが、断面TEM観測及び、分光エリプソメトリー解析によってわかった。したがって、シリコンナノクリスタル層の屈折率が表面から深さと共に増加し、表面近傍の屈折率は空気の1に近く、界面近傍の屈折率はシリコンに近くなることによって極低反射率が得られることがわかった。シリコンナノクリスタル層の価電子帯スペクトルをXPS法を用いて観測した。シリコンナノクリスタル層の最表面の価電子帯上端のエネルギーは、化学的転写処理時間と共に下方に移動し、最大約0.4eV低くなることがわかった。一方、ケルビンプローブフォース顕微鏡を用いたシリコンナノクリスタル層の伝導帯の観測では、シリコンナノクリスタル層の最表面の伝導帯下端のエネルギーは、最大約0.2eV上方にシフトすることがわかった。一方、pn接合を形成した後のシリコンナノクリスタル層の伝導帯エネルギーは、ほぼ平坦または表面方向で少し下方にシフトしていることがわかった。したがって、シリコンナノクリスタル層のバンドギャップは量子サイズ効果によって1.7eVであり、この値はシリコンナノクリスタル層のフォトルミネッセンススペクトルから求めたバンドギャップと良い一致を示した。これらの結果から、<シリコンナノクリスタル層/pn接合シリコン>構造は、graded band-gap構造を持ち、シリコンナノクリスタル層中で光生成したホールと電子の電荷分離が促進され表面再結合が防止されていることがわかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 6件、 査読あり 10件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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