研究課題
本研究では「ゼオライト鋳型炭素」のユニークな構造を利用することで、高性能なリチウムイオン二次電池の正極材料の開発を行う。また、そこから得られた知見をベースにリチウムイオン二次電池と同様の蓄電デバイスであるリチウムイオンキャパシタの正極材料の開発研究も行う。今までの研究実績の概要は以下のように纏められる。まず、通常のリチウムイオン二次電池の電解液中(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートに溶解したLiPF6中)でもゼオライト鋳型炭素の含酸素官能基は高電位側つまり正極として酸化還元反応を起こし、容量増加に寄与することを明らかにした。しかし、こ電気化学的反応は当初期待していたキノン基による酸化還元反応ではなく、ゼオライト鋳型炭素のフラン環がカチオンラジカルへと酸化し、電解質のアニオンと反応したものであることを明らかにした。さらに、一連の研究から蓄電デバイス用高性能正極材料に必要な要件は、電気化学的に酸化還元する含酸素官能基の存在だけでなく、高電圧下でも電解液中で腐食しないことが極めて重要であることが分かった。そこで、「ゼオライト鋳型炭素」の合成法と同じ鋳型法を用いて、「ゼオライト鋳型炭素」に比べて極めてエッジサイトが少ない3次元グラフェン状炭素を合成した。このような背景の元、本年度は下記のことを明らかにした。1. 上記の3次元グラフェン状炭素をリチウムイオンキャパシタの正極材料として使用した結果、通常の活性炭より耐高電圧耐性が高いことを明らかにした。2. 電気化学的に不安定なのは水素原子と結合しているエッジサイトだけでなく、COを脱離するような含酸素官能基の存在も電気化学的安定性を低下させることが分かった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Journal of Materials Chemistry A
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