本研究では,シリコン(Si)を発光体とするSi量子ドットを作製し,それを用いた量子ドットLEDの開発を目的とした。量子ドットの作製には,次の三つの方法を導入した。すなわち,1)レーザーアブレーション法,2)化学合成法,3)焼成法である。1)については,液中に静置したSiウエハにナノ秒パルスレーザーを照射し,青色領域で発光する量子ドットの開発に成功した。2)については,有機合成的にSi誘導体を液中で還元させ,その凝集過程によりSi量子ドットの合成に成功した。その結果,青色領域でより発光効率の高いSi量子ドットの合成に成功した。3)については,シルセスキオキサンを1100℃の高温での焼成反応により,赤色,オレンジ色で発光するSi量子ドットの合成に成功した。これら3種類の手法でのSi量子ドットの合成は当初の計画通りであり,目的を達成できた。なお,これらの3種は全て表面官能基の異なる量子ドットでもある。また,これら3種類の量子ドットを用い,Si量子ドット溶液の塗布法により量子ドットLEDの開発を行った。全てにおいてLEDが作製できた。特に1)の量子ドットを用いたSi量子ドットLEDが最もよい素子であった。これらの成果は学会または学術論文として発表した。また,一部の発表においては,国内外の学術界,出版社,メディアからも注目された。
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