研究実績の概要 |
前年度合成に成功した新規層状ペロブスカイト酸化物(Dion-Jacobson系列)KCa2MNb3TiO13(M= Co, Mn, Fe)およびバーネサイト型層状マンガン酸化物K0.8Mn1-xMxO2(M= Co, Fe)を酸水溶液後、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH)水溶液中で振盪・剥離することにより、単層剥離できることを明らかにした。一方水酸化物系においてはNi, Fe硝酸塩水溶液をH2O2存在下で均一沈殿させることにより層状複水酸化物Ni1-xFex(OH)2(CO3)x/2nH2Oが得られること、層間のCO32-イオンをClO4-にイオン交換した後、ホルムアミド中で振盪することにより単層剥離し、ナノシートを合成した。 酸化チタンナノシート(Ti0.87O2)の水系コロイド溶液を高速遠心分離してナノシートをすべて沈降させ、これをDMSO中に再分散させたゾルを用いてスピンコートを行った結果、適切な条件のもとでは、ナノシートが基板表面の広い範囲を隙間、重なりを作ることなくモノレイヤーで膜を形成することが明らかになった。この発見はナノシートの応用にとって重要な、新しい稠密配列法として活用できる可能性が高く、今後さらなる検討を続ける予定である。 高い誘電性を持つペロブスカイト型酸化物ナノシート(Ca2Nb3O10)と室温強磁性を示すCoドープ酸化チタンナノシート(Ti0.8Co0.2O2)をLB法により様々な順番で累積させ、多様な人工ヘテロ構造を構築した。それらの電気分極、磁気特性について調べたところ、特定の超格子構造を持つ膜は、強誘電性と強磁性を同時に示し、multiferroic特性を有することが分かった。
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