研究実績の概要 |
前年度までに合成に成功した新規層状ペロブスカイトRbCa2MnNb3TiO13を基にMnに換えてNi, Co, Feの導入を試みた。その結果わずかに不純物相が含まれるもののNi, Coに対しては同様の新規ペロブスカイト相が得られることが確認できた。一方Feの場合は、3価に酸化されやすいためか、不純物相が多かった。 一方、Co2+とFe2+の混合塩(モル比5:1)で加水分解・均一沈殿させることにより、サイズが揃ったCo5/6Fe1/6(OH)2ブルサイト型六角板状結晶が得られた。これにヨウ素を作用させたところ、特異組成、低い層電荷密度のCo2+5/6-Fe3+1/6層状複水酸化物(LDH)が生成することがわかった。 前年度見出した酸化チタンナノシートのDMSO分散ゾルをスピンコートすることによる稠密配列単層膜形成に関する知見をさらに発展させるべく、もう一つの重要なナノシートであるペロブスカイト型ナノシート(Ca2Nb3O10)について同様な検討を行ったところ、ナノシート濃度、回転数を最適化することで、様々な基板上に稠密配列できることが確かめられた。 高いレドックス性を示す酸化マンガンナノシートの水系コロイド溶液にポリエチレンイミンを添加することで、単分散性を維持したまま電荷を正に反転させた。このサンプルを酸化グラフェンもしくは還元型酸化グラフェンのコロイド溶液と混合するという簡便な操作により、両者が分子レベルで交互に積層した超格子的ヘテロ複合体の合成に成功した。得られたサンプルをアノード活物質としてLi, Naによる電気化学的充放電特性を調べたところ、それぞれ1325, 795mAhg-1という高い容量を安定に与えることが明らかになった。この大きな容量は酸化マンガンナノシート間にイオンが出入りするトポタクティック挿入・脱離にとどまらず、ナノシート自体が金属まで還元されることに伴ういわゆるconversion反応が関与した容量と考えられる。
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