本研究では、昨今用途の拡大している透明導電膜の候補材料としてのBaSnO3薄膜の可能性を探究し、希少元素を含むITOの代替えとして活用の期待できることを示したことが意義深い。また、強誘電性を示すLiNbO3型酸化物薄膜の開発は、Pbフリーの強誘電体探索に対して有用な指針を与えた。これらの観点に加えて、新たな酸化物界面制御技術の開発を進めたことは、多様な酸化物の特性を活用した新たな薄膜素子の開発を切り拓く重要な基盤技術に位置づけられる。特に、機能としての界面伝導性や誘電性の活用に対して、元素戦略的な視点からも有効な成果であり、社会的にも貢献しうる成果と言える。
|