研究課題/領域番号 |
15H02026
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
山本 裕紹 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00284315)
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研究分担者 |
安井 武史 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (70314408)
梅田 大樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (70615377)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光周波数コム / 分光イメージング / 共焦点顕微鏡 / 反射型光学素子 / 植物工場 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,植物工場において生育する植物の水ストレス状態を定量化するデュアル光コムによるワンショット3D分光イメージングを行う共焦点レーザー顕微鏡を開発することである.ワンショットでフルフィールド画像を取得できる共焦点顕微鏡は,植物工場の現場における植物細胞のライブイメージングを可能にする.植物工場の収率向上に重要な水分量が枯渇寸前の状態(水ストレス状態)を定量的に取得し,瞬時に可視化する光学手法を明らかにする.本プロジェクトは,周波数が安定化された光コム光源による波長/2次元平面変換機能によるワンショット共焦点レーザー顕微鏡技術の開発,植物の水分状態の分光画像の処理ならびに植物工場での実証試験から構成される. 平成27年度においては,(1)分光イメージングのための3次元配光照明の製作と分光イメージングを行った.植物工場でのIn vivo観察向けに,反射型光学素子を利用して可視光だけでなく赤外光についても集光できる光学系を製作して,3次元配光により,複数の葉で囲われた中央部分を照明できることを実証した.この照明光を用いて,ハイパースペクトルカメラによる分光イメージングを行った.(2)2次元回折格子を用いた波長/2次元平面の双方向変換の原理検証を行った.光スペクトル計測に用いる分光器では,通常は1次元回折格子が用いられているのに対して,ファブリーペローエタロン型の分光素子と回折格子の組み合わせにより,光周波数コム光源の光を波長ごとに2次元に展開することに成功した.(3) 光コムの周波数スケール(数百THzオーダー)をRF帯(MHzオーダー)まで周波数ダウンスケーリングする技術であるデュアル光コム分光を実現した.以上,ようするに,波長/2次元平面変換により得られた光情報を個別に検出するという次年度の目標達成のための要素技術を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,植物工場において生育する植物の水ストレス状態を定量化するデュアル光コムによるワンショット3D分光イメージングを行う共焦点レーザー顕微鏡を開発することであり,本プロジェクトは,周波数が安定化された光コム光源による波長/2次元平面変換機能によるワンショット共焦点レーザー顕微鏡技術の開発,植物の水分状態の分光画像の処理ならびに植物工場での実証試験から構成される.この目標に対して,葉が生い茂る中での分光イメージングを行うための3次元照明光学系の開発,植物圃場の製作,波長/2次元平面変換の達成とデュアル光コム分光の実現という第1年度の実施項目を達成している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である水ストレス状態を定量化するデュアル光コムによるワンショット3D分光イメージングを達成するために,3年の計画で研究を進める.平成28年度には,(1)植物工場における分光イメージングと(2)ワンショット共焦点レーザー顕微鏡の構築を行う. (1) これまでの可視域から近赤外領域のハイパースペクトルカメラに加えて,新たに赤外領域のハイパースペクトルカメラを利用できる見込みとなった.これらの広い波長域での分光イメージングにより,植物の水分状態による分光画像の変化を調べる.本年度に有効性を実証した,可視光だけでなく近赤外および赤外も収束可能な反射型結像系について,植物工場の現場での観察において注目領域に照明光を集光するための設計の最適化を進める. (2) 集光レーザーとピンホールを用いて深さ分解能を向上させる共焦点レーザー顕微鏡において,同時並列化を行う.スリット光と回折格子を用いる方法により共焦点画像の獲得を行うスキャンレス共焦点顕微鏡の構築とともに,2次元回折格子とデュアル光コム分光によりワンショットで画像を獲得するワンショット共焦点レーザー顕微鏡の構築を行う.デュアル光コム分光においては光源の安定化が必要であり,この分野のスキルと知識を有する研究者に分担者に加わっていただくことで,研究の推進をはかる.
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