研究課題
平成29年度には,瞬間的な点火条件の把握および燃焼制御の指針を得ることを目的として,空間的なレーザー誘起ブレイクダウンスペクトロスコピー法(LIBS)の開発に取り組んだ.サブナノ秒の発光時間(660 ps)を持つマイクロチップレーザー(波長1064nm)を用いて形成された,レーザー誘起プラズマを対向配置された二台の超高速度カメラ(1秒間に2億フレーム,Exposure 5 ns)を用いて異なる波長で撮影することにより,サブナノ秒のレーザー誘起プラズマが,ビームウェスト近傍の点から発生し,10ns程度で最大の大きさにまで成長する過程の観察に成功した.また,燃焼機器に取り付けるためのディテクター一体型のレーザープラグを用いて空気中のLIBS試験を行い,窒素や酸素のスペクトルを計測できることを確認した.課題として, LIBS計測のS/Nを向上させるために,マイクロチップレーザーの励起光源の透過光を低減する必要があることを見出した.なお,上記LIBS用のレーザープラグは,分子研からの技術移転を受けてリコーが開発したジャイアントパルス・マイクロチップレーザー(GP-MCL)である.一方,分子研では燃焼ガス分光評価に適する中赤外光発生光源として,GP-MCLをマイクロチップベースでアンプするマイクロMOPA励起の光パラメトリック発生(OPG)を周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)を用いて実施する事を平成28年度に続き検討している.平成29年度はOPGに光注入同期を行い,分光に適する広帯域波長可変特性を損なわずに狭線幅化できる事を検証した.さらに,可視域や紫外域でのLIBSも有用とのことから水晶を用いた可視・紫外域での波長変換法についても検討を行い,数kWだった波長532nmの第二高調波出力を平成29年度には数100kWにまで高出力化するなど良好な結果を得た.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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