研究課題/領域番号 |
15H02041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三村 秀和 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30362651)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | X線ミラー / 回転体ミラー / 軟X線集光 / 高次高調波 / SPring-8 |
研究実績の概要 |
本研究は、回転体ミラーを用いた次世代の軟X線集光システムの開発を目的としている。特に回転体ミラーを有効利用するため、回転体ミラーの照明光学系にリング集光ミラーを利用することを提案している。さらに、本研究では効率的に研究を推進させるため、東京大学における高次高調波施設とSPring-8の軟X線ビームラインの2か所においてミラーの評価を行う。実験頻度の高い高次高調波施設で得た基礎的な検討結果をSPring-8での集光実験に活用する。 平成28年度の目標は、高次高調波施設とSPring-8の軟X線ビームラインに前年度構築した集光システムを利用し回転体ミラーの性能を評価すること、リング集光ミラーと回転体ミラーの高精度化のための加工計測システムを構築することの二つである。 平成28年度前半において、回転体ミラー作製プロセスにおけるマンドレルの形状精度を大幅に向上させ、より高精度な回転体ミラーの作製に成功した。その結果、高次高調波施設において、平均波長15nmの高次高調波光を約300nmに集光することに成功した。また、SPring-8の集光実験においても、波長4nmの軟X線を集光サイズ約250nmに集光することに成功した。 ミラーの高精度化では、リング集光ミラーの作製を目的に、ピンホールを用いた形状修正成膜装置を開発した。本装置により、空間分解能100μm、精度1nmの形状修正が可能となった。回転体ミラーの高精度化に不可欠なマンドレルの3次元形状計測法を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
回転体ミラーの開発において、SPring-8および高次高調波の評価が始まり、両施設において従来にない300nmサイズ以下の集光サイズを確認した。また、両ミラーの加工計測プロセスが完成したため両ミラーの更なる精度向上が可能であり、集光性能の大幅な向上が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
この2年の研究の成果により、高次高調波施設、SPring-8軟X線ビームラインでの集光特性の評価で、ミラーによるEUV、軟x線集光としては従来報告されていない集光サイズを共に確認し、大きな成果があった。今後は、より集光サイズの縮小を目指しミラーの高精度化を行う。 ミラーの形状精度を向上させるためには、ミラーの形状誤差を正確に知る必要がある。集光性能において集光サイズの大きさがアライメント誤差による影響も受けるため、形状誤差起因かアライメント誤差起因かを判断する必要がある。そこで、本研究では、タイコグラフィ法による集光波面計測を導入する。波面誤差を正確に測定できれば、収差理論を利用しアライメント誤差を分離でき、正確な形状評価が可能となる。
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