研究実績の概要 |
コンパクトトーリック多様体のミラー対称性についての論文(量子コホモロジー環とポテンシャル関数のヤコビ環との環同型およびフロベニウス多様体の対応)がようやく今年度出版された。アクセプトをもらいながらどういうわけだか出版には数年かかった。また、対合とフレアーコホモロジーについての論文は投稿よりほぼ丸6年かかって今年度アクセプトされた.随分加筆することになったが、辛抱強く対応した甲斐があり最終的に正しく理解されたようでよかった。倉西構造の基礎理論の整備について、good coordinate systemを縮めることに関する論文を今年度改訂し短く簡明にすることができ、アクセプトされた。更に,擬正則曲線のモジュライ空間の境界での座標変換の滑らかさについて,貼り合わせ写像の指数減衰評価の解析の詳細とそれを用いた議論を111ページのプレプリント(Kenji Fukaya, Yong-Geun Oh, Hiroshi Ohta, Kaoru Ono, Exponential decay estimates and smoothness of the moduli space of pseudoholomorphic curves. arXiv:1603.07026)としてまとめアーカイブ上で公表し、学術雑誌に投稿した。これらの論文は今後我々の研究を円滑に進める上で大きな意義をもつ。 また、12月にミラー対称性予想に関する国際研究集会を主催し、海外の活発な若手研究者を招聘することができ、内容ある議論を行うことで本研究課題を推進する上で大きな収穫があった。また、今年度後期に1名ポスドクを研究支援者として雇用した。ケーラー曲面の場合にKapustin-Witten方程式の解の特異集合の解析性などKapustin-Witten方程式の数学的基礎の研究で着実な実績をあげた。
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