研究課題/領域番号 |
15H02057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平地 健吾 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (60218790)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多変数函数論 / L2拡張定理 / 双有理幾何学 / 特異点論 / ツイスター空間 / CR幾何学 / ベルグマン核 |
研究実績の概要 |
7月には国際会議「多変数複素解析葉山シンポジウム」10月には「函数論シンポジウム」12月には「多変数函数論冬セミナー」を開催し研究成果発表を行った。9月には若手研究者を中心とした「函数論サマーセミナー」を開催した。東京大学では毎週複素解析幾何セミナーを実施した。 平地はCR構造のモジュライ空間をベルグマン核の対数項の消滅による球の特徴付けへ応用した。大沢健夫はL2拡張定理を用いて正則写像の局所擬凸性の判定法および西野の剛性定理の別証明を与えた。高山茂晴は標準束が豊富であるような滑らかな代数多様体の退化・変形を研究した。松村慎一は正則切断の拡張問題を研究し、被約とは限らない部分多様体に対する拡張定理を与えた。吉川謙一は高次元エンリケス多様体の不変量を解析的捩率を用いて構成し、それから得られるモジュライ空間上の関数がヴェイユ・ピーターソン計量のポテンシャル関数になる事を示した。本多宣博は基本系が1次元である代数的ツイスター空間の分類と構造解析に取り組み、構造を決める方程式の形を決定した。神本丈は調和解析学や特異点論で重要な研究対象である振動積分や局所ゼータ関数に関する漸近解析を詳細に行った。奥間智弘は2次元複素特異点のgood idealを表現する特異点解消の特徴付けを与え、ブリスコーン完全交叉特異点に対して正規化された節減数の公式を示した。伊師英之はGindikin教授と共同で凸ではない錐上のL2函数空間と、その双対錐を底とする管状領域上のコホモロジーの空間をFourier-Laplace変換で結びつけるPaley-Wiener型の定理を考案した。辻元はベルグマン核の力学系を用いて標準束がアバンダントな射影代数多様体のケーラー・リッチ流の極限が標準測度から定まるセミケーラーカレントになることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに国際会議及び国内向けの研究集会が開催され盛んに研究成果発表と研究者の交流が行われている。各個人の研究も研究実績にあるように滞りなく進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
7月には国際会議「多変数複素解析葉山シンポジウム」(代表:平地健吾)を拡大し「Pacific Rim Complex/Symplectic Geometry」と共同で開催する。 9月には若手研究者の中心とした「函数論サマー セミナー」(代表:堀田一敬)また冬には国内の研究成果発表の場として「函数論シンポジウム」を開催し(代表:柳原宏)当該分野の相 互理解をはかる。東京大学では毎週セミナーを実施し、研究者間の情報の共有をはかる。今年度は細野元気氏(特任研究員)がセミナーの 実務的な運営を行う。
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