研究課題/領域番号 |
15H02058
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石毛 和弘 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90272020)
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研究分担者 |
川上 竜樹 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20546147)
石渡 通徳 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30350458)
岡部 真也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70435973)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 漸近解析 / 形状解析 / 非線形問題 / 拡散方程式 |
研究実績の概要 |
拡散方程式の解の漸近解析と形状解性を用い、放物型方程式の解の対数凹性、ポテンシャル項付き半線形熱方程式における時間大域可解性、非斉次項付き scalar field equation の分岐構造等の研究を行った。 (1) 放物型方程式の解の対数凹性:1976 年に Brascamp と Lieb が対数凹性が熱流によって保存されることを示し、偏微分方程式の解の冪凹性の研究が本格的に始まった。Paolo Salani 氏 (フィレンツェ大)、 高津飛鳥氏 (首都大) との共同研究として、対数冪凹という新しい凹概念を導入し, 熱流が対数凹性より強い凹性である対数冪凹性を保存することを証明し、さらに熱流が保存する最も強い凹性を同定した。 (2) ポテンシャル項付き半線形熱方程式における時間大域可解性:川上竜樹氏 (龍谷大) との共同研究として、空間二次減衰するポテンシャル項付き半線形熱方程式 に対するコーシー問題の時間大域正値解の存在・非存在について研究を行い, 対応する藤田臨界指数の同定を行った。これにより, 藤田臨界指数とポテンシャルの挙動、特に、シュレディンガー作用素の臨界性との関係が明らかになった。 (3) 非斉次項付き scalar field equation の分岐構造:岡部真也氏 (東北大), 佐藤得志氏 (宮城教育大) と共同研究として、非斉次項をもった scalar field equation の解の分岐構造の研究を行った。特に、一般に解析が困難である優臨界における解の分岐構造が明らかになり、Joseph-Lundgren 指数と解の正則性理論との関係が明らかになった。 この他、Eom Junyong 氏 (東北大) との共同研究として、準線形放物型方程式における ODE 型解の漸近解析も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
解の形状解析、漸近解析の融合により、放物型方程式の解の対数凹性、ポテンシャル項付き半線形熱方程式における時間大域可解性、非斉次項付き scalar field equation の分岐構造、準線形放物型方程式における ODE 型解の漸近解析の研究を行い、当該研究開始当初に想定していなかった新しい知見を伴った研究成果も挙げている。これらの研究は今後の研究の土台となるべきものであり、今後の進展が強く期待される。また、関連分野の国内外の研究集会や研究者セミナーを開催し、研究打ち合わせ等の研究交流も行っており、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究課題にて得た研究成果を元に、議論を進展させ、漸近解析および形状解析の融合と新たな解析技法の確立を目指す。また、国際研究集会等を開催し、関連分野の研究交流を促進させていく。
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