研究課題/領域番号 |
15H02061
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
谷口 正信 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00116625)
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研究分担者 |
加藤 賢悟 東京大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50549780)
清水 泰隆 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70423085)
西山 陽一 早稲田大学, 国際教養学術院, 准教授 (90270412)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 統計数学 / 時系列解析 / 分位点回帰 / 予測 / 補間 / 判別 / 金融工学 |
研究実績の概要 |
分位点スコアーにもとずく時系列解析は、従前のそれと異なり、革新過程の分布の分位点での推測、予測、分類等の視点を与え、平均的指標からの視点よりはるかに高度な知見をもたらす。ここで、分位点スコアーは、ある種の L_1 ロスである。 時系列解析では、従来2次ロスによる予測や補間の議論がなされてきたが、本研究では、これをL_1 ロスで遂行した。具体的にL_1 予測子、補間子の形も導出した。さらにはスペクトル密度関数が、epsilon-混合である場合の min-max L_1 予測子、補間子も導出した。時系列の信号ーノイズモデルでの、予測、補間に新地平を与えるものと思われる。 また、線形回帰モデルでのleast absolute deviation(LAD) に基づく経験尤度比検定の提案と、その漸近分布が未知母数に依存しないという有用性を示した。撹乱項の分布の裾が重い場合にも適用でき、今後、多方面で応用が期待できる。 時系列の判別解析は従来正規性を仮定したり、あるいは正規性をはずしても、Whittle 尤度のように2次形式型の統計量を用いて行われてきた。本研究では革新分布の分位点スコアーに基づいた判別統計量を提案し、その基本的な良さと誤判別確率を近接カテゴリーのもと、評価した。各分位点での、判別ができるので、例えば、地球温暖化を高温度から低温度までの分位点で、どう変化しているのか、捉える事が可能になった。平成27年度は、国際シンポジュームを3回、国際セミナーを2回、多数の国際先端的研究者を招聘して、時系列における分位点回帰、高次元時系列解析、ポートフォリオ推測問題、統計的遺伝子解析の研究を進めた。本研究では、研究成果を国際スタンダードに発表する。この流れで、本研究成果の一部を、仏系国際誌 "Statistical Inference for Stochastic Processes" に特集号として出版予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
時系列解析における分位点回帰という主題のもと研究を展開してきたが、その流れはもとより、高次元時系列解析、時系列経験尤度解析、ポートフォリオ推測等、広汎な話題が取り扱われ、またそれぞれで研究成果があった。具体的には高次元時系列の共分散行列の推測や、高次元時系列の判別解析での手法提案とその良さの議論。応用としても遺伝子解析への応用、金融時系列データへの分散分析等にまで展開された。 また研究成果の部分は、仏誌 "Statistical Inference for Stochastic Processes" の Special Issue: "High Dimensional Statistical Analysis for Time SpatialProcesses & Quantile Analysis for Time Series" として出版予定である。このように本研究は、成果をグローバルな媒体で発刊して国際視点で可視化するべく進めている。 また我国の若手研究者の育成の立場からも、本研究で国際先端的な国内外の研究者を多数招聘して研究交流をすすめており、その中で20代、30代の若手研究者が海外の大家達と共同研究をする機会も得ており、研究は当初の計画以上に進展している。 さらに研究代表者(谷口)の足元では、早稲田大学関係の若手研究者達の論文からなる「早稲田大学理工研報告特集号」第13号(総ページ126)を2016年3月に発刊して、この面でも、十分に研究進展がなされている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、研究主題として "High Dimensional Statistical Analysis for Time SpatialProcesses & Quantile Analysis for Time Series" を据え、国際先端的な研究者を招聘し、国際シンポジュームを3回開催、国際セミナーを2回開催して、我が国の研究者達と交流し、国際共同研究にまで進める。研究成果は、前学年度同様、国際誌の1巻を借りて特集号として、発刊し、成果を国際スタンダードかつ、グローバルに可視化をはかる。このなかで我国の若手研究者の育成をめざす。基本基盤は、時系列の統計数理理論の構築であるが、成果は膨大な応用をもち、遺伝子、生体・医学、金融、保険、年金等の研究者達と協業をもち、産業数学研究の基盤づくりを目指す。この流れで理論ー>応用ー>理論ー>の流れをつくり数理理論と応用の輪廻的発展をはかる。
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