研究課題/領域番号 |
15H02065
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
井田 茂 東京工業大学, 地球生命研究所, 教授 (60211736)
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研究分担者 |
木村 淳 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00536138)
谷川 享行 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30422554)
奥住 聡 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60704533)
佐々木 貴教 京都大学, 理学研究科, 助教 (70614064)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 惑星形成 / 衛星形成 / 衛星進化 |
研究実績の概要 |
太陽系の木星や土星の衛星は、イオの火山、エウロパの内部海を示す地形、タイタンのメタイタンの湖、エンケラドスの水蒸気噴出など、多様な表面地形や生命存在可能性が興味を集めている。衛星系全体の質量・軌道分布を見ると、同じように形成されたはずの木星系と土星系は全く異なる。衛星は惑星周円盤内で形成され、惑星自身はその円盤を通してガスを集積して成長するので、衛星は木星や土星の形成の鍵も握っている。我々の目標は、形成各過程を徹底解析して論理的に 組み上げることで、衛星形成の標準モデルを構築することである。 1. 惑星周円盤での微衛星形成:惑星周円盤へのガス流入にダスト流入が付随するとして、惑星周円盤内での統計的ダスト合体成長シミュレ ーションを行った。 コンパクト・ダストのもとでは、微衛星の形成は困難であることはすでに示したが、充填率が低い、ふわふわダストの場合は微衛星形成が可能であることを明らかにした。 2. 微衛星集積、軌道移動:基礎過程の詳細や、詳細な円盤進化モデルをとりこんで、統合的モンテカルロ・シミュレーションを行った。一定の条件下で、木星のガリレオ衛星の質量・軌道分布および組成の分布を再現することが可能であることを明らかにした。 3. 土星系の衛星の潮汐軌道進化:大質量リングから衛星が生まれ、潮汐で衛星が次々と押し出されたとするモデルのもと、N体シミュレーションを行った。一般に、生まれた衛星が潮汐軌道進化で隣の衛星との共鳴にはまり、現在の衛星軌道分布が説明できないことを示した。唯一可能な解は、円盤からのトルクで衛星の 軌道離心率が上昇する場合であり、噴水活動を示すエンケラトドスの発熱も説明可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに全く解決できていなかった惑星周円盤での微衛星形成が、充填率が低い、ふわふわダストの場合は微衛星形成が可能であることを明らかにしたことは 画期的である。この結果は現在、論文執筆中である。 また、土星系のうちの中型衛星(ミマス、エンケラドス、テティス、ディオーネ)の軌道進化も全くの謎であったが、何が困難の原因なのかをはっきりさせたことは重要である。さらに、大質量リングから衛星が生まれ、潮汐で衛星が次々と押し出されたとするモデルで、円盤からのトルクで衛星の軌道離心率が上昇する 場合を考えれば、中型衛星の軌道分布が再現可能で、さらに噴水活動を示すエンケラトドスの発熱も説明可能であることを示したことは、画期的なことである。 論文はすでに米国惑星科学会誌に発表した。 以上のような重要な成果をあげたので、順調に進捗していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
ガリレオ衛星などの大型衛星は、原始惑星系円盤の中で形成される巨大ガス惑星のまわりに一時的に形成される惑星周円盤の中で形成される。このような階層的な構造を数値的にシミュレーションすることは簡単ではく、惑星周円盤の構造には不定性がある。そのことが特に、ガリレオ衛星などの大型衛星の形成過程の不定性につながっている。原始惑星系円盤の溝に埋まっている巨大ガス惑星へのガス流入の精密なモデル構築に着手する。また、土星の衛星形成に関しては、タイタンは惑星周円盤での形成が支持されているが、その内側に並ぶ中型衛星の形成に関しては、惑星周円盤での形成モデルと、過去にあった大質量リングから滲み出たというモデルの決着がついていない。その中型衛星については、探査機カッシーニによる詳細観測データの解析が発表されてきたので、特に化学データを使って、形成モデルを制約することにも着手する。
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