研究実績の概要 |
Λハイパー核の荷電対称性の破れを調べるため、J-PARC K1.1ラインにて7Li(K-,π-)7ΛLi*, 7ΛLi*→4ΛH*+3He反応により4ΛHの励起状態を生成し、ゲルマニウム検出器群Hyperball-Jで4ΛHの1+→0+遷移のγ線を同時計測する実験(J-PARC E63)の準備を以下のように進めた。 (1)弱崩壊4ΛH→4He+π-をタグして間違いなく4ΛHのγ線であることを同定するための 多層プラスチックカウンター「π-検出器」を開発した。シミュレーションののち、厚さ5mmの板状プラスチックカウンターを4本のwave length shifting fiberとMPPCで読み出す方式を採用した。プラスチック内部に埋め込む方法はコストと手間がかかるため、プラスチックの表面に溝を掘りそこにファイバーをoptical cementで埋め込む方式を採用した。ベータ線でのテストの結果、十分な光量が得られ、4ΛH→4He+π-の同定が可能であることが確認できた。 (2)K1.1ビームラインとSKS磁気スペクトロメータに取り付けてビーム粒子と散乱粒子の同定と軌跡測定を行うための検出器(ファイバー飛跡検出器、ドリフトチェンバー、TOFカウンター等)は既に揃っているが、そのために必要な読出し回路や周辺機器を製作・購入した。 (3)ハイパー核の荷電対称性の破れの研究について、H27年度に実施した4ΛHeのγ線分光実験の成果と準備中の4ΛHγ線分光実験の内容をいくつかの国際会議で発表した。 本科研費の課題のうち、K1.8ラインにおける4ΛHeのγ線分光実験は成功裏に終了しているが、一方の4ΛHのγ線分光実験はK1.1ビームラインの建設が遅れているために実験実施は来年度以降となる。本基盤研究では、実験準備をほぼ終了することができ、ビームライン完成後に直ちにデータを収集できるようになった。
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