研究課題/領域番号 |
15H02080
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
郡司 修一 山形大学, 理学部, 教授 (70241685)
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研究分担者 |
中森 健之 山形大学, 理学部, 准教授 (30531876)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ガンマ線バースト / 偏光度検出器 / 散乱型偏光計 |
研究実績の概要 |
我々はガンマ線バースト(GRB)の輻射メカニズムを解明するために、大面積のGRB偏光度検出器を開発し、GRBの統計的な偏光観測を実現しようとしている。そのため、平成27年度には以下の事を行った。 1)検出器に使われる部品として一番振動衝撃に弱いものはマルチアノード光電子増倍管(MAPMT)である。そのため、Falcon9というロケットに搭載して検出器を打ち上げた際に加わる振動衝撃をMAPMTに加え、試験した。結果として適切なショックアブゾーバーを使えば振動衝撃試験をクリアすることができた。2)まず検出器の4分の1サイズのブレッドボードモデル(BBM)を製作した。さらにその性能を偏光ビームを使って調べるため、KEKに持ち込み、80keVと60keVの偏光ビームを照射した。本実験ではBBMの様々な箇所に偏光ビームを照射して実験を行ったが、あらゆる場所で偏光を測定できる事が実際に確かめられた。特に実験で得られた偏光解析能力とシミュレーションで得られた偏光解析能力が一致している事が分かり、検出器が設計通りに動作している事が分かった。さらに検出効率も同時に調べたところ、ほぼシミュレーション通りの結果が得られたが、一部でシミュレーションと違った結果も得られている。これはMAPMTの性能にばらつきがあったためだと考えられるが、より詳細なデータ解析を行っている。3)平成27年の8月にNASA/MSFCと山形大学の間でGRB偏光度検出器の開発に対する正式な研究協力が開始された。これを基に、日本から郡司と2名のスタッフそして大学院生がNASA/MSFCを短期間に訪れてディスカッション及び実験を行い、逆にNASA/MSFCからポスドクがビーム実験に参加するために日本に訪れた。この研究協力をベースに国際宇宙ステーションにGRB偏光度検出器を搭載するためのプロポーザルをNASA本部に平成28年12月に出す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた実験をほぼ行う事ができ、次のエンジニアリングモデルの製作に進む準備もできている。さらにNASA/MSFCと山形大学で正式な研究協定が結べたため、研究を大きく前進させる準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は以下の事を行う予定である。 1)平成27年度に購入して基礎テストを行ったシンチレーターと光検出器を使ってエンジニアリングモデルを製作する。しかし、まだこれらの検出器から信号を読み出すための回路の開発ができていない。そのため、平成28年度には、その回路系の開発と製作を行う。すでに平成27年度の終わりから、回路業者と回路の開発に関して打ち合わせを行っており、大ざっぱなデザインができあがっている。平成28年度の初頭に回路の詳細を業者と詰めて、秋を目処に回路を製作する予定である。そして、検出器本体と回路を一体にするための検出器ジグを製作し、エンジニアリングモデルを完成させる。そして、BBMと同様に高エネルギー加速器研究機構の偏光ビームを使ってエンジニアリングモデルの基礎性能を調べる実験を行う。 2)我々は国際宇宙ステーションにガンマ線バースト偏光度検出器を搭載するためのプロポーザルを平成28年12月にNASAの本部に提出する予定である。そのため、現在様々なスタディーを行っているが、検出器の詳細な性能をシミュレートするためのシミュレーションプログラムの開発ができていない。そこで、研究代表者が夏に1ヶ月程度NASA/MSFCに滞在し、シミュレーションプログラムの開発を行う事を計画している。
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