研究課題
銀河中心付近の暗黒物質探査においては、星間媒質と宇宙線の相互作用による拡散ガンマ線が主要なバックグラウンドとなる。これまでは、星間媒質の密度分布は、電波観測による原子状水素と一酸化炭素の密度分布から推測していたが、推測に用いる変換係数が環境に依存するため、別の測定による補正が必要となるなど、十分な精度や一様性を確保する上で問題が多かった。本研究では、マイクロ波観測衛星Planckの全天サーベイで得られたダストの熱放射、温度、光学的厚みから星間媒質の密度を系統的に導出する方法を検証した。宇宙線密度がほぼ一様と考えられる近傍のガス雲においては、拡散ガンマ線の放射強度は星間媒質の密度に比例すると考えられるため、その領域における星間媒質による放射や吸収の測定結果から推定される星間媒質の密度とフェルミ衛星の観測で得られた拡散ガンマ線の放射強度を比較することによってその推定精度を評価し、2編の論文を出版した。並行して、次世代のガンマ線観測装置となるCherenkov Telescope Array (CTA)で使用する半導体光電子増倍素子(SiPM)の開発を推進した。SiPMでは、一つの光子の入射に対して複数の光子に対応する信号を出力するクロストークとよぶ現象があるが、クロストークによって入射光子数より大きな出力することで、光子数の少ないバックグラウンドをガンマ線シャワーの現象と間違えてしまうことが問題となる。これまでの研究で保護樹脂をなくすことでクロストークを大きく抑制できることがわかっている。さらにクロストークを低減するため、保護樹脂をなくした素子のクロストークの特性を測定した結果、その大部分が遅延クロストークに起因することをつきとめた。また、遅延クロストークの発生率が大きいことも判明したため、遅延クロストークの低減によって、SiPMのさらなる性能向上が期待できる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
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