研究課題/領域番号 |
15H02088
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 温子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50353371)
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研究分担者 |
中家 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (50314175)
南野 彰宏 京都大学, 理学研究科, 助教 (70511674)
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90402768)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 希ガス検出器 |
研究実績の概要 |
ニュートリノを伴わないん二重ベータ崩壊(0νββ)探索のための高圧キセノンガスによるTime Projection Chamber検出器の開発を進めている。高いエネルギー分解能を実現するために、我々は電離電子の検出にELCC(ElectroLuminescence Collection Cell)と呼ばれる信号読み出し機構を提唱し開発を進めている。ELCCは、ドリフトさせた電離電子をセル化させた電極内に引き込みエレクトロルミネッセンス光を発生させ信号に用いる。 前年度に引き続き容量10Lの検出器による性能評価、改良を行った。キセノンガス8気圧下で356keVのガンマ線に対して2.8%(FWHM)の分解能を得た。これは、0νββのQ値のエネルギー分解能に外挿して0.56~2.47 % (FWHM)に相当し、目標性能0.5%へもう一歩の所まで迫っている。また、ELCCにおいてエレクトロルミネッセンス光を測定するMPPC光検出器の非線形応答を理解することで、さらに分解能を向上させられることを突き止めた。 次期180L検出器の製作に向けて、各種開発、製作を押し進めた。まず、多チャンネルのMPPCからの信号波形を十分な精度で測定するためのデジタル変換回路を開発した。特に、これまで難しいと考えられてきたMPPCのDC結合読み出しの新しい方式を開発した。MPPC光センサーの非線形応答を効率的に測定するためのキャリブレーションシステムを開発した。一様なドリフト電場形成のための電極構造について、耐放電、低アウトガス、チャージアップ耐性などの要求性能を満たす設計の検討を進めた。電極最端部には50kVという高電圧を印加する必要があるため高圧ガス外部からではなく容器内で高電圧を発生するためのコッククロフトウオルトン電源の開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
信号波形読み出し回路の開発において、当初は既製品のASICチップを用いる予定であったが、我々の研究に必要な時間特性を満たさないことが判明した。そのため個別素子による設計に方針を変更した。それらの設計・評価・アナログ部試作機製作に想定外の時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
180L試作機の製作を推し進め、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の信号のエネルギーである2.5MeV付近でのエネルギー分解能を評価する。
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