研究課題
フェルミ衛星やチェレンコフ望遠鏡により,GeV・TeVの銀河宇宙線陽子の情報が入手可能になった.一方,MeV宇宙線陽子のデータは地球のごく近傍を除いて未だ皆無である.この状況で,「すざく」の観測から申請者は,銀河面の中性鉄(6.4keV)輝線の起源がMeV陽子である事を発見した.そこで本研究は下記の目的の元,精密X線分光によるMeV銀河宇宙線陽子の研究を開拓する.X線や電子が行う内殻電離はK殻の電子1個のみを放出させるため中性蛍光Kα輝線はKα1とKα2の2つだけの単純な構造を持つ.それに対し,陽子とそれに付随する重イオンはK殻の電子と同時にL殻やM殻の電子も放出させる「多重電離」を行うので,Kα1とKα2に加え高エネルギー側に複雑なサブストラクチャーを持つ.これを銀河面や超新星残骸の中性鉄K輝線構造の精密分光から検出できれば,MeV陽子や重イオンによる電離を意味し,宇宙線陽子・重イオンの存在を仮定なしに証明できる.サブストラクチャーの強度比から宇宙線重イオンのアバンダンスの測定も可能である.今年度はXrismによる精密分光観測に備え,地上の実験結果を利用し,輝線構造のモデル化を行った.結果をPASJに投稿した(Okon et al.).レフェリーの評価は修正無しのアクセプトであった.現在,エディタが要求するマイナー修正を行っており,近日中にアクセプトされる見込みである.上記の精密分光観測を可能にするXrism衛星に搭載するX線CCDカメラの開発を継続した.FM素子の製造,スクリーニング,キャリブレーションを実施した.他の部材の準備もすすみ,FMカメラの組み立ては順調に推移している.さらに,Xrismに続く硬X線衛星の実現を目指し,広帯域撮像分光素子であるX線SOIの開発を行った.テスト素子の詳細設計と製造,入手と評価を行った.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件)
ApJ
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