研究課題
基盤研究(A)
準結晶は、周期性とは異なる規則性を持つ物質であり、周期結晶には許されない回転対称性を有する不思議な物質である。物理学において対称性は極めて重要な概念であり、通常結晶とは質的に異なる対称性を有する準結晶は、固体物理学者の興味を集めてきた。本研究では、極低温で生じる「量子臨界現象」と呼ばれる不思議な現象(物性)が生じるメカニズムの解明に成功を収めた。また、これまで超伝導を示す準結晶は1つも発見されてこなかったが、本研究では、世界に先駆けて超伝導の発見に成功を収めた。
物性物理学
本研究課題は、準結晶と強相関電子系という2つの研究領域にまたがる学際領域の開拓を目指したものである。量子臨界現象の起源の解明や、準結晶で初めての超伝導の発見という成果を通して、この目標に到達したと考える。この学術的意義は大きい。さらに、準結晶超伝導の発見は、英国物理学会誌Physics Worldにおいて、「2018年10大ブレークスルー」の1つに選ばれた。これは大きな社会的意義を有するものである。