研究課題
●課題1、イメージャネットワーク観測調査 昭和基地での高精度観測を第58次南極観測越冬隊で継続すると共に、高性能化したイメージャを観測点が粗になっている南極半島周辺の南米アルゼンチン共和国パタゴニアのリオガジェゴス観測所に設置して観測を開始した。●課題2、大気重力波の統計解析調査 研究協力者をユタ州立大学に派遣しANGWINネットワークの各サイトから長期のデータを入手し、解析を行った。とくに、これまでの研究で興味ある類似点と差異の見つかった昭和基地とDavis基地の間の比較を通年のデータについて詳しく解析した。これらの結果は国際誌に論文発表した。また、韓国から研究協力者(院生)を招聘し、解析ソフトを配布・指導して多くのデータを解析した。●課題3、高エネルギー粒子降込みの影響の評価 オーロラ高エネルギーイベント起源の波動について調べるため、昭和基地以外の場所も含めた粒子降込みの中性大気への影響をレーダーや衛星観測で解析・検討を行い、地理緯度・磁気緯度の異なるサイトの間の影響の違いを把握した。また、同一画像からオーロラと大気光重力波を個別に取り出すことを検討・実施した。●課題4、中低緯度との結合の調査 地上観測、衛星観測のデータ解析を継続するとともに、エネルギー分布と伝搬特性に注目し、中低緯度・高緯度間の緯度間結合の視点で大気重力波の振る舞いを明らかにした。とくに客観解析データとレイトレーシングの活用を進めた。
1: 当初の計画以上に進展している
高性能大気光赤外イメージャを昭和基地で継続して安定に運用でき、さらに重力波発生の心臓部に近い南極半島近傍のアルゼンチン南部に2台目を設置稼働できたことで観測は極めて順調である。南極大陸上での大気重力波の比較成果も順調に出版できている。また、国内外の院生を研究協力者とし、ポスドク研究員も登用して解析研究を加速できたことは予想以上の成果であった。国内外での成果発表も相まって本研究の解析手法は国際的にも興味を持たれて普及しつつあり、今後我々が主導してこの分野の予想以上の進展をはかることが予測され、特段の進展と判断した。
本研究課題の重力波マッピングは順調に推移しており、かつ開発した解析ソフトウェアが国際的にもこの研究分野で好評を得ているため、今後新たな科研費を取得することも視野に入れて研究の拡大を図る予定である。具体的には観測研究領域を南半球に限らずグローバルに展開をはかりたい。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 12件、 招待講演 4件)
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