星周および太陽系円盤における高温ガスからの凝縮生成プロセスを明らかにするために、高周波誘導熱プラズマ法を用いた凝縮実験を開始した。出発物質の作成に関する予備実験をおこない、試薬や隕石など様々な固体物質を粉体化することにより、化学組成を系統的に変化させて実験が可能となることを確認した。 天体表面での宇宙風化の描像をより詳細に得るために、イトカワサンプルの3次元粒子外形と表面微細構造を系統的に比較し、宇宙風化による小惑星の反射スペクトル変化は、宇宙風化リム生成により促進されるが、機械的摩耗および粒子破壊により抑制されるという宇宙風化の物質科学的モデルを示した。さらに、月サンプルやまた高速衝突実験生成粒子の3次元外形を放射光マイクロトモグラフィーにより求め、イトカワ粒子に比べて月粒子はより機械的摩耗を受けている可能性を示した。 星間での”宇宙風化”が太陽系の宇宙風化とのとどのように異なるか、その実体を明らかにするために、高エネルギーでの粒子線照射を開始した。荷電粒子照射によるチャージアップがおこらないようなターゲット試料作製法を考案した。 彗星塵に含まれる非晶質珪酸塩微粒子(GEMS)が、太陽系固体の原材料物質として星周および太陽系円盤でどのように形成・進化したかを明らかにするために、GEMSを含む彗星起源の惑星間塵の全体の3次元構造を、放射光マイクロトモグラフィーにより世界ではじめて求めた。また、炭素質コンドライトのマトリクスなどはこのような太陽系起源物質が水質変成を経験したものと考えられるが、その3次元構造を求めた。さらに、ミクロンサイズの流体包有物や有機物の同定をおこなうために、放射光を用いて吸収像と位相像を3次元的に同時に求める新しい手法(SIXM法)の開発を始めた
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