研究課題/領域番号 |
15H02148
|
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
木村 純一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 分野長代理 (30241730)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マグマ / 火成岩 |
研究実績の概要 |
【1】島弧・海嶺・海洋島玄武岩の試料採取および試料調整:本年度に採取した玄武岩試料から石基ガラスとカンラン石メルト包有物を分離し,それらの分析を開始した.その分析に際して,レーザーアブレーションICP質量分析法によるリチウム同位体比の測定精度を飛躍的に向上する手法を開発し,国際誌にその成果を公表した.ガラスとメルト包有物の分析は継続して進行中である. 【2】海嶺-海洋島の岩石学的フォワードモデルの開発:平成27年度に開発し,平成28年度にその実用性を検討した海嶺-海洋島の岩石学的フォワードモデルを用い,海嶺玄武岩が地球史マントルの元素分別に与える影響について検討を加え,地球史35億年間のマントルの熱史・同位体進化史について計算を実施して,国際誌に論文を投稿した.論文は査読中である. 【3】島弧-マントルリサイクリングの岩石学的フォワードモデルの開発:島弧-マントルリサイクリングの岩石学的フォワードモデルの開発を完了し,それを用いて地球史35億年のリサイクリング物質の同位体進化に検討を加え,マントル富化成分の同位体進化史について計算を実施して,論文を公表した. そのほか,レーザーアブレーションICP質量分析法でモナザイトのウラン-鉛年代測定を実施し,沈み込み帯において大陸地殻が特定の年代に集中して形成されたことを明らかにし,国際誌に成果を公表した.また,海嶺におけるマントルと海嶺玄武岩の化学組成から海嶺玄武岩のの成因モデルを検討し,国際誌に2編の論文を公表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究期間5年のうちの2年目であるが,本研究計画全体の2大目的の1つである,「地球史におけるマントル富化成分の成因と進化に関する,島弧物質収支の役割」についてモデル計算を行い,その成因を明らかにして成果を国際誌に公表した.当該国際誌において掲載後,most accessed articleのトップにランクされ,研究コミュニティの関心をひいた.マントルかんらん岩,海嶺玄武岩,島弧地殻の分析から,計算モデルをサポートする研究結果を得て,国際誌に3編の成果を公表した.分析手法開発もほぼ終了し,実試料の分析を進めている.当初計画よりも速やかに進展していると評価できる.
|
今後の研究の推進方策 |
開発が終了した分析手法を用いて,引き続きガラスやカンラン石メルト包有物試料の分析を進め,島弧や海嶺における元素分別モデルの精密化を図る.とともに,投稿中の海嶺における元素分別と地球史における熱史・枯渇成分マントル進化史の論文の公表をめざす.
|