研究課題/領域番号 |
15H02179
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 隆史 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70214377)
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研究分担者 |
大槻 主税 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00243048)
西村 達也 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00436528)
坂本 健 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50626223)
齋藤 継之 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90533993)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自己組織化 / ハイブリッド材料 / 機能性高分子 / 融合マテリアル / 分子制御 |
研究実績の概要 |
本研究は、有機高分子と無機成分を秩序的・階層的に複合化・融合することにより、新しい環境低負荷・高機能複合材料を構築することを目的とする。自己組織化による秩序構造の形成を活用し、航空機に用いられる人工の繊維強化複合材料や天然に見られる高強度バイオミネラルのような、モルホロジー・配向などを制御した有機/無機融合材料の構築を目指す。 有機/無機融合材料の構造制御のため、ロッド状結晶性キチンナノ結晶のリオトロピック液晶を利用して作製したコレステリック構造を有する高分子マトリクスや、液晶性キチン誘導体を利用して配向キチンマトリクスを作製し、これらと炭酸カルシウムや炭酸ストロンチウムとの複合化を行なった。酸性高分子によって安定化されたアモルファス状態の無機塩を含む水溶液に作製したマトリクスを浸漬し、ゆっくりと複合化することにより、高分子マトリクスの構造を反映した規則構造を有する複合体を得た。 また、有機/無機複合体に秩序構造を形成させる新たな手法として、異方的な無機コロイド微粒子が作る液晶を活用する手法を開発した。炭酸カルシウムのアモルファスコロイドを前駆体として結晶成長を精密に制御し、水溶液中で安定に分散する棒状の炭酸カルシウムナノ結晶を作製した。このナノ結晶を含む水溶液を濃縮することで、世界初となる炭酸カルシウムの液晶を開発し、磁場や機械的せん断により液晶の配向制御にも成功した。 このほかに機能性の有機/無機融合材料の開発を目的として、高分子フィルムをマトリクスとした炭酸水酸化亜鉛薄膜を作製した。得られた炭酸水酸化亜鉛薄膜を酸化亜鉛の薄膜に変換し、光触媒能を有する複合薄膜を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
規則構造を有する高分子マトリクスの作製とその構造を反映した複合材料、液晶性を示す炭酸カルシウムナノ結晶、光触媒能を有する複合薄膜など各種材料の開発を達成しており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
有機テンプレートの規則構造や有機/無機の成分比、無機成分の組成・結晶種・結晶性・結晶配向などを変化させ、融合材料の強度やヤング率に与える効果を評価する。さらにバイオミネラルに見られるタンパク質の構造を基に界面制御分子を開発し、融合材料に導入することにより、天然に見られるナノレベルの融合構造を人工的に実現する。また、カルシウム塩のコロイド液晶について、集合構造制御および無機結晶作製法を検証し、形成する結晶の種類や形状のさらなる制御、多様化を目指す。
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