研究課題
本研究では、作動増幅型の超高感度の電子線偏向角度検出機構を開発し、超高感度局在場検出技術を創出した。グラフェン担持体や触媒微粒子体上の局在電荷の発現や移動をリアルタイムに可視化計測して、担持体の結晶構造、触媒構造やサイズに依存した触媒機能発現機構の解明に向けて研究を展開した。比較的薄い試料表面での電子局在と電子線散乱は、試料面垂直方向の電場分布をラザフォード散乱で取り込むことで解析的な取り扱いが可能であり、微弱な電子線偏向を検出することで、極めて微弱な局在場の検出が可能となる。本研究では、日立S4800走査電子顕微鏡とDeben社製4分割Si半導体検出器を組み合わせた局在場検出機構を創出した。局在場の高感度化と高分解能化を両立させるために、対物レンズを励磁した集束電子線を用い、検出器面での電子線の広がりを考慮した検出輝度分析と散乱角の同定を行った。微小局在場の検出例として、-30VにバイアスされたCNT先端には局在場が形成され、1keV電子線を検出プローブとして用いた場合にはCNT先端に誘起されている点電荷から17um離れた位置で0.8V/umの局在場が検出可能であった。この場合約200個の電子がCNT先端に誘起されており、FEMシミュレーションとも良く一致した。本研究に於いては、空間に分散したCNT枝先端での局在場の分布状況を捉える事にも成功した。さらに、、触媒反応に関連して、CNT表面に分散している直径50nmの金微粒子に対して2Vの負のバイアス電位を与えると、CNT表面には電荷集積や帯電は見られないものの、金微粒子の面は表面から20nmの領域には550V/umに達する局在場が形成される事を見出し、これは約150個の電子の局在に相当する。CNTに担持された金属微粒子にはより局在電荷が集積し易い事が、金属微粒子の触媒活性に強く関与していることが示唆される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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