研究課題/領域番号 |
15H02213
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
周 立波 茨城大学, 工学部, 教授 (90235705)
|
研究分担者 |
尾嶌 裕隆 茨城大学, 工学部, 講師 (90375361)
山本 武幸 茨城大学, 工学部, 技術職員 (40396594)
小貫 哲平 茨城大学, 工学部, 准教授 (70400447)
清水 淳 茨城大学, 工学部, 教授 (40292479)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | CMG / サファイヤ単結晶 / ハイブリッド送り機構 / 加工変質層 / 表面粗さ |
研究実績の概要 |
近年LEDの需要の急増に伴い,基板材である単結晶サファイアウエハの高能率,高精度加工に加えて高品位な加工技術が求められている.申請者らは独自に開発した研削プロセスに化学反応を融合したCMG(Chemo-Mechanical Grinding)技術を基盤に,ハイブリッド送り機構を具備した先端加工機械を開発し,単結晶サファイアウエハの形状精度,加工能率と表面品位を並立したOne-stop超精密・無欠陥加工技術及びその評価技術を開発,確立する. H27年度には,計画に従って単結晶サファイアとc-Al2O3と反応性を有する軟質砥粒及び化学反応を促進する触媒を実験的探索すること重点的に行った.まず6種類酸化金属を砥粒としてCMG砥石を試作し比較実験を行った.その結果CeO2>SiO2>Cr2O3>MgO>Fe2O3>CuOの順で材料の除去率が高くなっていることが分かった.また温度およびアルカリ性の加工環境が砥粒とc-Al2O3間の固相(固溶)反応を大きく促進する加工条件を見出した. 次に,CeO2とSiO2の2種類のCMG砥石を使って高温ドライおよび強アルカリ性(pH=11.5)湿式加工環境下で連続研削を行い比較実験を行った.いずれの場合においても,表面粗さRa≒1nm,加工変質層が<50nmの最終結果が得られた.一方,加工能率が1~2um/hと低いことも問題として顕在された 他に次年度の開発する工作機械のコア技術要素である定寸および定圧が可能なハイブリッド送り機構の開発にも着手した.横型のプロトタイプ機械上に外乱オブザーバによる定圧制御した送り機構を実現した.次年度はそれを進化させ(重力が作用した)竪型工作機械に応用する予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に従って単結晶サファイアとc-Al2O3と固相反応を有する軟質砥粒2種類,及びその化学反応を促進する加工環境を見出した.また次年度開発予定であるハイブリッド送り機構を具備した加工機械のコア技術を開発し,検証できるレベルにした. 得られた研究成果を学術誌論文2編及び国際会議論文2編にまとめ発表した.またこの技術が企業からも注目され,H27年度には1社との共同研究を実施した.次年度にはさらに1社が加わる予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
H28年度には,主に次の2つの課題について取り組む. 1.ハイブリッド送り機構を具備した先端加工機械のを開発:ウエハをダイヤモンド砥石による高能率・高精度研削には“位置制御”,またCMGには“圧力制御”が必要である.これまでは独立した2台の工作機械あるいは2つの主軸に従来の技術の転用してそれぞれ位置制御および圧力制御を実現しているが,H28年度にはハイブリッド制御法を工作機械に組み込めみ,位置制御と圧力制御を同一送り機構上に実現することを目指す.H27年度中にすでにメーカーと共同で加工試験および数回にわたって工作機械の仕様について打ち合わせを行ってきた. 2.CMG砥石の高能率化:現在試作したCMG砥石はサファイヤ単結晶と固相反応が起きるが,その化学反応の進行速度が機械的の除去作用比べて極めて低い.それが原因で加工能率が低いことに加えて50nm程度の加工変質層が残存することが問題になる.H28年度には県内の中小企業と共同でボンド剤を使わない100%反応性砥粒からなるCMG砥石の開発を行う.
|