光エネルギーが本来有している遠隔制御性・並列処理性・多重情報伝搬性と対象物体との相互作用で局在生成される近接場フォトンの能動的作用・受動的応答を利用して,数マイクロメートル程度の精密機能部品・デバイスを自律的に製造可能な数mm~数10mmスケールの超小型工場(セルインマイクロファクトリ)コンセプトの実現を目指す.具体的には化学的アプローチでは困難な多種マイクロ粒子複合による多機能マイクロデバイス(複合マイクロ粒子機能構造体)生産を実現する動的局在光場並列制御型セルインマクロファクトリの開発を目的とする.本年度の具体的な研究実績を羅列すると以下のようになる. (30-1) 前年度に確認された界面近接光波を用いた,フレキシブル部品搬送ライン構築について,さらに理論的・実験的解析を進めた.その結果,前年度までに構築した無限遠補正型顕微光学インプロセスユニットにより,粒子が順に自律的に一列に並んだ状態でレーザーの伝搬方向に数10um /s程度で移動する部品搬送ラインを構築可能であることが分かった.これは,遠隔からのビーム位置制御により,動的にフレキシブルなライン設定を可能にするものである. (30-2)上述のフレキシブル部品搬送ラインにおいては,外乱により,粒子ずれが発生しても,そこでラインが破綻するわけではなく,そのずれを追いかけるように,下流粒子が追従し,その後,外乱前のラインに順に戻っていく,自動修復現象が,新たに観察された.FDTD法による近接電磁場解析から,この自動修復メカニズムを明らかにした. (30-3)各種要素技術開発ならびに,物理メカニズム解析,複合マイクロ粒子構造体生産実験を通して,目的としていた,複合マイクロ粒子機能構造体を生産可能な局在光制御セルインマイクロファクトリの実現が可能であることを実証した.
|