研究実績の概要 |
以下の2つのシミュレーションをそれぞれ行った.(1)クラスレート水和物/水/メタンの系において相平衡条件を決定するための分子動力学シミュレーションを行った.平成27年度は,NPH(粒子数,圧力,エンタルピーが一定の系)およびNVT(粒子数,体積,温度が一定の系)のアンサンブルを用いて計算を行ったがNPHの系においては,気相,液相,固相の共存系での圧力制御が困難であることがわかった.また,NVTの系では計算を行うことが可能であることがわかった.これらの結果から,平成28年度は,NVTアンサンブルを用いて,複数の温度条件で相平衡条件を決定するための計算を行った.水モデルはTPI4P/Iceを用いた.その結果,これまで発表された他の研究者の結果よりも高圧側になることがわかった.他のほとんどの研究は,NPTアンサンブルでの計算であり,あるT, Pを決めた時に,その系の水和物が壊れた場合は,平衡条件より温度が高いと判断し,水和物が成長した場合は温度が低いと判断する方法であった.本来三相平衡条件においては,温度か圧力のどちらかを決めるともう一つは自動的に決まるが,この方法の場合では,そとから与えることで平衡条件と合致する温度・圧力条件であれば平衡状態のように振る舞うことを利用している.本研究では,Tを決めて,Pを自然に決まる方法を採用している.結果については,今後詳細を検討する予定である.(2)クラスレート水和物の中に充填されるゲスト分子の割合を計算するためのギプスアンサンブルモンテカル ロシミュレーションを行った.平成27年度はメタン水和物について行い,シミュレーションの方法の妥当性を検討した.平成28年度は,メタン/エタンの混合系について,構造I,構造IIのそれぞれの計算を行い,充填率の計算を行った.
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