研究課題/領域番号 |
15H02240
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
リム パンボイ 豊橋技術科学大学, 国際教育センター, 准教授 (40502597)
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研究分担者 |
後藤 太一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00721507)
中村 雄一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20345953)
高木 宏幸 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40390463)
井上 光輝 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90159997)
内田 裕久 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30271000)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 磁気ホログラムメモリ / 熱磁気記録 / 人工磁気格子メディア / コリニア磁気ホログラム |
研究実績の概要 |
① 多層膜磁気記録メディアの開発:磁気ホログラムを3次元的に体積記録するための多層膜メディアの開発を行った。昨年度に設計した磁性ガーネット中に過剰な熱を逃がすための熱拡散層を導入した多層膜メディアを実際に形成し、その特性を評価した。その結果、熱拡散層として当初Al2O3を使用していたが、ガーネット層厚が薄くなるとファラデー回転角が低下しやすいことがわかった。そこで熱拡散層としていくつかの材料を評価した結果、SiO2を使用することで磁性ガーネット層の厚さが薄い場合でも特製の低下がほとんど無い多層膜膜が形成できることがわかった。 ② 記録再生方式の検討:熱磁気記録による磁気ホログラムの回折効率の向上を目指し、記録時の磁化反転を大きくするため磁気アシスト記録方式について検討した。記録時にメディアの初期磁化方向と反対方向に種々の大きさの磁場を印加して、磁気ホログラムの記録を行い、記録条件と再生効率の関係について評価した。その結果、適度な大きさの磁場を印加して磁気アシスト記録を行うことで、回折効率が数10%向上し、特に膜厚が薄い場合にその効果が大きいことがわかった。更にコリニア方式を用いたデータの記録時に磁気アシストを行うことで、記録に必要なエネルギー密度が小さくなり、エラー0での記録再生できる条件が広くなることもわかった。 ③磁気ホログラムの磁化記録状態の解明:前年度構築した走査型磁気光学顕微鏡を用いて記録メディアの磁化状態を評価した結果、SPring-8での評価結果と同様の干渉縞が観察できた。またSPring-8での結果と同様、現状の磁性ガーネット膜は磁化特性が一様でなく部分的に特性の悪いところが散在することがわかり、今後そのような不均一性を改善する必要があることも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁気ホログラムの体積記録に求められる多層膜メディアを実際に作製し、特性の劣化が無い多層膜構造の作製条件を明らかにすることができた。また明瞭な再生像を得るために磁気アシスト記録方式について検討を行い、それに必要な条件を明らかにすることができ、磁気アシスト記録方式を用いることで、より広い記録条件でエラ-0が得られることを明らかにした。更に多層膜メディアのような薄い磁気記録層を用いる際には有効であることも明らかになった。 以上のことから、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
磁気ホログラムメモリの実用化を目指すにあたり、記録密度の高密度化が必要である。そのため1回の信号光の記録面積の増大ならびに多重記録の検討を行う。また膜厚方向に体積的な記録を行うための多層膜メディアを作製し、そこにデータ記録を行い離散的な記録層に記録してもエラーの無い再生像が得られることを確認するとともに、磁気アシスト記録を併用することで、高密度記録を得るための記録条件について検討を進める。
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