研究課題/領域番号 |
15H02246
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小柳 光正 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 名誉教授 (60205531)
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研究分担者 |
木野 久志 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10633406)
田中 徹 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40417382)
ベ ジチョル 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (40509874)
清山 浩司 長崎総合科学大学, 工学部, 准教授 (60412722)
橋本 宏之 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 産学官連携研究員 (80589432)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電子デバイス・機器 / 先端機能デバイス / 半導体物性 / システムオンチップ / スマートセンサ情報システム |
研究実績の概要 |
今年度は可視光イメージセンサと、近赤外センサ層、赤外センサ層を積層した3層積層型イメージセンサを試作することを想定して、実際のイメージセンサの構造に近い構造を有する3層積層型イメージセンサの光応答特性をシミュレーションにより評価した。その結果、実際のイメージセンサの構造に近い構造を有する3層積層型イメージセンサでは、厚い多層配線層間絶縁膜のために、信号光が隣接する画素へも入射してクロストークとなり、鮮明な像が得られなくなる可能性のあることがわかった。そこで、画素中央部の多層配線層間絶縁膜を除去し、そこに高屈折率の絶縁膜を埋め込んで、光を垂直方向に導波するための光導波路や光パイプを形成することを検討した。その結果、可視光、近赤外光、赤外光すべてに対して、良好に導波される構造と条件が存在することが判明し、このような最適構造、最適条件を採用することによってクロストークを大幅に低減できることが明らかになった。これらの評価結果を基に、イメージセンサの各画素の中央部に光パイプを形成することを試みた。まず、イメージセンサの各画素の中央部に光パイプを形成するための深溝を形成する技術について検討した。その結果、高エネルギー反応性イオンエッチを用いて、厚い多層配線層間絶縁膜の中に、寸法1~5µm、深さ3~5µmの良好な形状を有する深溝を形成することが可能となった。次に、深溝に埋め込むコア材料として、薄いSi層の積層との整合性を考えて、高屈折率シリコン酸化膜を重点的に検討し、1.54という大きな屈折率を有するTEOSプラズマシリコン酸化膜の形成に成功した。多層配線層間絶縁膜に形成した深溝に大きな屈折率を有するTEOSプラズマシリコン酸化膜を埋め込み、CMPにより平坦化して光パイプを形成した。このように形成した光パイプで光が導波されることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って、積層型画素を有するイメージセンサの実現可能性をシミュレーションにより明らかにするとともに、クロストークを削減するための光パイプを形成したウェハによるウェハ接合やウェハの薄化、微細TSVや微細マイクロバンプの形成など、積層型イメージセンサ試作へ向けて必要な技術が着実に蓄積できていることから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでの検討結果を基に、可視光層/近赤外光層/赤外光層からなる3層積層型イメージセンサ素子を実際に設計・試作して、基本特性を評価することを目指す。そのためには、多層積層型イメージセンサ素子を作製するための極薄ウェハのハイブリッド直接接合技術と微細TSV、微細マイクロバンプを用いた三次元ヘテロ集積化要素技術の確立が鍵となるので、今後これらの技術の確立に注力する。
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