研究分担者 |
山森 弘毅 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (00358293)
平山 文紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (10357866)
佐藤 昭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (30357149)
永沢 秀一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 招聘研究員 (50500584)
福田 大治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (90312991)
佐藤 泰 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90357153)
大野 雅史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90391896)
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研究実績の概要 |
本研究は、半導体等他検出器を凌駕する低雑音性を持つ反面、受光面積や計測時間で劣る超伝導検出器の普及を図るため、小型・低消費電力・廉価な極低温冷却系の基での多画素化に資する、極低温下のマイクロ波帯周波数多重読出回路(MW-Mux)の開発を目的とし、A. 超伝導読出チップ開発、B. 室温信号処理回路開発、C. 超伝導検出器開発と放射線分光応用 の3課題から成る。各課題の目標と到達を述べる。 課題A:目標_昨年度見出された、加工による共振器特性の急峻さ(Q値)低下の原因究明と対策を施し、Q値増大と読出雑音低下を図る。実現_共振器電極をシャントする抵抗残さが生じ、Q値を下げた。層間絶縁膜平坦化によりこれを防ぎ、Q>5×10^4、読出雑音の約1/2化に成功した。 課題B:目標_2系統室温処理回路から成る独自型MW-Muxの4画素読出動作を実証し、画素間クロストークを抑制する。実現_遮断周波数がアナログディジタル変換器のサンプリング周波数の1/2以下かつ急峻な減衰特性を持つ低域通過フィルタの採用により、2系統6画素の読出回路プロトタイプの雑音とクロストークを、従来型MW-Muxの値にまで低減した。 課題C:目標_2画素以上のTES読出を実証する。雑音の原因究明と対策を行う。実現_昨年度に比べ雑音低減に成功した1系統室温系から成る読出回路を用いた2画素TESの同時読出を行い、光子エネルギーE=184 keVの硬X線に対し分解能dE =57, 67 eVを得た。dE/E=6.2, 6.9×10^(-4)は、従来型MW-Muxを先駆開発した米国標準研究所の値dE/E=5.7×10^(-4)に比べ殆ど遜色ない。また、読出回路起因の雑音を、他要因(含むTES)雑音の約60%に抑えた。 以上により、目標を達成し、独自型MW-Muxが、今後の画素数増大に拡張性を持つことを示した。
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