研究課題/領域番号 |
15H02263
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
風間 基樹 東北大学, 工学研究科, 教授 (20261597)
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研究分担者 |
河井 正 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10371436)
清原 雄康 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20369911)
山口 晶 東北学院大学, 工学部, 教授 (30337191)
渦岡 良介 京都大学, 防災研究所, 教授 (40333306)
仙頭 紀明 日本大学, 工学部, 准教授 (40333835)
森 友宏 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (40552394)
海野 寿康 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (50570412)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 液状化 / 性能設計 / 流動性 / 液状化判定 / 噴砂 / 繰返しせん断 / 沈下 / 残留変形 |
研究実績の概要 |
当該研究に関連して、雑誌論文への研究発表2件、学会発表27件を行った。特に、第15回日本地震工学シンポジウムにおいては「設計想定と異なる事象に対する基礎地盤の耐震性能評価戦略について」を発表し、液状化に関する性能設計の資する戦略を示した「SPATIAL VARIABILITY OF LIQUEFACTION AND POST-LIQUEFACTION PROPERTIES OF HYDRAULIC FILL SAMPLED FROM A RECLAIMED SITE(埋立地から採取した浚渫圧送土の液状化および液状化後の特性に関する信頼性評価)」では、科研費を使用した小名浜港埋立地での隣接したボアホール試料の液状化試験結果のバラツキを論じた。この研究では、深度方向に細粒分含有率が大きく異なること、その結果として力学特性い違いが生じることを明らかにした。「密な砂質土の液状化後の変形特性について」は液状化対象とならない密度を検討した。「液状化後の残留せん断ひずみと再圧密体積ひずみの関係」では,これらは本研究の実施計画である①液状化検討の対象外の土質・地盤条件の明確化②液状化後の地盤要素の終局的な残留変形量(沈下量,水平変形量)と靭性能の評価③液状化に関する性能設計の枠組みを構築する.内容に沿ったものである。 また、2019年3月には、地盤工学会エネルギーに基づく液状化予測手法に関する研究シンポジウムにおいて、現状の予測手法の課題をレビューするとともに、新たな枠組みでの液状化予測判定手法のケーススタディ結果を報告した。また、同シンポジウムでは、繰返し三軸試験を基準化累積損失エネルギーにより整理し,砂やしらすの飽和・不飽和状態での比較,定量的評価を行った結果も報告した。 さらに、液状化数値解析における信頼性を担保するために、どのようなことが必要となるかも検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度においては、設計の枠組みで必要となる、原位置から採取した試料を用いた液状化試験結果のバラツキを検討し、細粒分の多少によってそれが大きく左右されることが明らかとなった。また、地震動のバラツキとしても、表層部の盛土切土の違いによって、地震動の最大値指標が5割ほど違うこともしめし、一般的な耐震設計条件を超える場合(危機耐性)として、外力の増加をどこまで考えるか、地盤物性の低下をどこまで考えるべきかの指針を示すことができた。 また、種々の土質を対象とした繰返しせん断試験としては、熊本地震における火山灰質粘性土、北海道胆振東部地震における破砕性のある火山灰質砂質土も対象として検討し、粘性土でも地震動により過剰間隙水圧が上昇し、その結果剛性が低下することなどを明らかにした。また、火山灰質土では、単調載荷じより繰返しせん断時の方が粒子破砕が生じやすく、せん断初期の剛性低下や残留せん断強度の低下につながることを示した。 数値解析としては、Geo=Asiaを用いた解析や、3次元DEMを用いた解析によって、実験ではできない条件で、解析を行い、性能設計に向けた検討うを始めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度として、研究開始当初の目標を達成すべく、研究をまとめて行きます。具体的には、 (1)土の一次的性質(土質分類、粒度組成、細粒分の性質)と土の二次的性質(密度、粘着力、透水性)に基づいて、液状化の検討対象外の土を示す方法論を明らかにします。 (2)従来の方法に代わる新たな耐液状化性能を評価できる室内試験法を提示し、それに基づいて、液状化判定チャートを示します。 (3)数値解析による残留変形を求める場合、結果の確からしさを評価する方法を示します。 以上は、これまでの各研究分担者の結果を持ち寄り、集中的に討議する機会を作り、推進します。
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