研究課題
本研究では従来、物性物理の基礎研究(極低温)の1分野であったマルチフェロイックの研究を実用的レベルに到達させるため、エネルギー消費の少ない電圧印加で磁化反転制御が可能な室温動作型メモリデバイスのプロトタイプ構造を設計作製し、そのメモリ基本動作を検証することを目的とする。この目的達成のため、単一構造で強(フェリ)磁性/強誘電性が共存する均一系と強(フェリ)磁性体/強誘電体ヘテロ接合系の2つのマルチフェロイック結晶・デバイス構造を平行して設計・作製し、両構造で結晶構造および基板を介した磁気異方性の制御を行うことで、強(フェリ)磁性体の垂直磁化を実現し、電圧印加による磁化反転制御を試みる。本年度は前年度最適化された基板の種類と方位の組み合わせを微細にチューニングして薄膜-基板間ミスマッチ歪みによる磁気異方性の制御について定量的に把握した。本年度得られた結果を要約する。(1)κ-Al2O3型酸化物をSrTiO3(111)面上を堆積すると、平均結晶サイズ10nmのピラー状に結晶ドメインが成長し、60°毎に6つのドメインを形成することが明らかになった。この膜は面内磁気異方性を示し、強誘電性を全ての組成で確認した。またSrTiO3(100)上を堆積した膜は磁気異方性が消失し、この原因は面内で12個のドメインが成長したことによるナノサイズ効果であることが判明した。ナノサイズドメイン効果は磁気異方性を制御するために不可欠な情報であり、デバイス応用に関して重要な知見を得た。また薄膜のTEM観察を行い、ドメイン構造を直接観測した。(2) ドメイン構造のうち、120°ドメイン近傍の電子状態をEELS観測し、結晶ドメインにおける欠陥構造と鉄の価数について詳細に観測し、Feの価数と酸素欠損と導電性の相関について知見を得た。(3)トンネル接合デバイスを作製しデバイスとしての適応性に関する検討を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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