本研究は、平均結晶粒径1μm以下の多結晶体バルク金属材料であるバルクナノメタルが示す種々の特異な力学現象を統一的に理解することを目的とする。本研究で対象とするバルクナノメタルの特異な力学特性とは、(1)金属・合金の種類によらず普遍的に現れる降伏点降下現象、(2)Hall-Petch関係におけるextra-hardening、(3)加工軟化と焼鈍硬化、(4)室温におけるひずみ速度依存変形、(5)巨大なバウシンガー効果、である。研究代表者が有するバルクナノメタルの製造技術や、最先端の力学特性・組織解析手法を駆使して系統的な実験を行ない、バルクナノメタルの変形挙動を統一的に理解できる理論を構築することを目的とした。初年度である平成27年度には、実験対象合金を選定してそれを購入するとともに、バルクナノメタル化と力学特性の測定を開始した。そうした段階で、本研究の内容をカバーし、さらに幅広く発展させる計画である基盤研究Sが採択されたため、規定に従って本研究は廃止し、基盤研究Sにおいて引き続き研究を継続することになった。
|