研究課題/領域番号 |
15H02324
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
藤井 孝藏 東京理科大学, 工学部, 教授 (50209003)
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研究分担者 |
野々村 拓 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 助教 (60547967)
安養寺 正之 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (70611680)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プラズマアクチュエータ / 流体制御 / マイクロデバイス / 小型風洞 / 高精度シミュレーション |
研究実績の概要 |
実験と数値解析を並行して実施した.小型風洞を用いた低レイノルズ数実験では,さまざまなパラメータのもとでこれまで得てきた知見の有効性を確認した.取得実験データにデータマイニング技術を適用した結果,翼後縁圧力と揚抗比に強い相関があること,翼前縁圧力と揚力に強い相関があることが明らかとなった.また,画角を拡大したPIVを実施することで,層流剥離泡の大きさ,せん断層の厚さといった情報を明らかにできた,連続駆動の条件を除きCFDとほぼ同じ流れ場構造が実験でも観察されたが,連続駆動の条件に関しては, CFDよりも多少の効果の違いや乱流遷移の位置の異なりが観測されている.次年度以降に行う幅広いレイノルズ数での翼周り流体制御の試験への準備は概ね順調に進んだ. CFDに関しては,2次元シミュレーションを利用して,フィードバック制御パラメータの詳細を議論した.また,巡行時を対象とした制御シミュレーションを実施し,抵抗低減による翼の揚抗比改善が確認でき,この技術が失速制御だけでなく,幅広い流れ条件に有効であることを実証した.ただ,乱流遷移の遅延化,2次元的な渦構造の維持など新たな面も発見され,次年度以降さらなる議論が必要である.また,風車など回転機器への適用に向けて動的失速の制御シミュレーションを実施した.通常20%程度のスパン長で周期条件を与えるが,2次元翼が前縁からの大規模剥離を生ずる場合についてはこれではスパン方向の効果が正しく評価されず,コード長程度のスパン領域が必要であることがはじめて示された.コード長を十分にとることで実験結果がよく再現できる. プラズマアクチュエータとシンセティックジェットの流体制御効果をシミュレーションで比較し,限られた条件ではあるが,定性的には同じメカニズムを利用していることを明らかにした. 計算手法の面でも,すでに多数の成果が出ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者の所属が申請時から変化したが大きな問題はなく,実験,シミュレーションとも概ね予定通りに進んでいる. 実験面では,これまで以上に幅広い条件下でのプラズマアクチュエータの効果について評価を実施し,有用な実験結果を得るとともに連続駆動のケースについて数値シミュレーションにおけるプラズマモデルの検討の必要性を確認できた.また,データマイニング技術の利用が有効であることが確認できたので,次年度以降さらに詳細の解析を進める. 平成 28年度以降に行う幅広いレイノルズ数での翼周り流体制御の試験,動的失速の流体制御試験,フィードバック制御試験の準備,模型の制作,治具の構築などは予定通り実施している. 実験で計測可能な電流量の不足から予定していた高電圧発生装置を変更した結果,納入が遅れたが大きな問題はない.次年度の大型模型試験で利用予定であった天秤は予算減を考慮して購入・制作せず,JAXA/ISASの惑星大気風洞所有のものを実験期間を工夫することで利用する.模型制作は予定通り進んでいる. シミュレーション面では以下の通りである. 平成27年度のみ,戦略プログラム「次世代ものづくり」の課題1プロジェクトの最終年度として,本研究の成果も活かしてプラズマアクチュエータに関する大規模シミュレーションを多数実施している.比較的計算機資源を要求しない2次元のフィードバック制御シミュレーションにおいて一定の成果が出たので次年度は3次元における本格的なシミュレーションの実施を予定する.なお,京を利用した論文リストのうち,大規模シミュレーションの成果に関するものの多くは,本研究での大学院学生らの成果と上記プロジェクトにおけるJAXA招聘研究員の合同の成果であることを付記しておく.次年度は京コンピュータの資源がないので,計算機利用のための費用等が発生する可能性がある.
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今後の研究の推進方策 |
全体に研究計画の大きな変更はない.予定通り,平成28年度にJR東海の風洞を利用した幅広いレイノルズ数流れに対する実験を行う.これにより小型風洞およびシミュレーションで得られたプラズマアクチュエータの適用範囲がより明確にできると考えている.小型風洞を利用した実験では,(1)非定常圧力センサーを利用した実験,(2)CFDで得られた「巡航条件下でのプラズマアクチュエータの有効性」を確認する実験を進める.前者はPIVの局所観測と合わせて前縁剥離渦の非定常変動や2次元渦維持の状況などを確認する.後者については,さらに幅広いパラメータ下での試験の実施とデータマイニング技術の利用によって制御を支配する重要なパラメータの明確化を進める.加えて,フィードバック制御を組み込んだ実験を準備したい.治具,偏角装置などの確認が出来た段階でピッチング振動する翼への適用を始める. CFD面では,実験結果をフィードバックしたシミュレーション,優れた翼,単純翼のそれぞれについてプラズマアクチュエータのパラメータ変化で抜けているところを洗い出し,グリッドサーチ的なデータを用意することで,データマイニング技術のさらなる適用を進めていく.産業界の研究協力者とは産業実利用への適用をときどきに議論しているので,これを継続するとともにさらなる適用先も模索していきたい.
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