研究課題/領域番号 |
15H02333
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平島 剛 九州大学, 工学研究院, 教授 (00175556)
|
研究分担者 |
笹木 圭子 九州大学, 工学研究院, 教授 (30311525)
沖部 奈緒子 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30604821)
三木 一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10706386)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ヒ素含有銅鉱石 / 分離 / 銅 / ヒ素 / 浮選 / バイオリーチング / ケミカルリーチング / スコロダイト |
研究実績の概要 |
硫化鉱物と各種含ヒ素硫化鉱物の分離を目的として電気炉またはマイクロウェーブにより加熱酸化した後、磁力選別する方法について検討を行った。鉄を含む硫化鉱物は加熱酸化により、鉱物表面に磁鉄鉱などの磁化率が高い鉱物が生成され、鉄を含まない含ヒ素硫化鉱物との分離が可能であることが分かった。 H2O2を用いて表面酸化を行った後、黄銅鉱と輝水鉛鉱の浮選分離を行った結果、黄銅鉱はフェントン反応により選択的に酸化されるのに対し、輝水鉛鉱はほとんど酸化されないこと、XAFS解析から、Cu成分の化学状態にはほとんど変化が見られず、Fe成分の化学状態が鋭敏に状態変化が起こっていることが明らかになった。実鉱石の浮選結果より、従来法であるNaHS法とほぼ同等の結果が得られることを明らかにした。 銀触媒を用いた硫砒銅鉱の低温度域バイオリーチングについて一連の実験を行った結果、45℃にて銀触媒無添加の系でCu浸出率43%、Fe浸出率100%であったのに対し、Ag2S添加系(0.04%)にて、最終Cu回収率96%を達成し、Feの溶出が29%に抑制され、さらに52%のAs不動化が確認された。Fe溶出抑制に伴う低Eh維持により、硫砒銅鉱の溶解が促進されたと考えられる。また硫砒銅鉱表面にtrisilver arsenic sulfideの生成が確認された。また、ヒ素含有廃液処理のためのバイオスコロダイト法に関する一連の実験の結果、スコロダイト化が難しいとされる低As(III)濃度域(>250 ppm)においても鉄ヒ素比および種結晶の添加条件を最適化することにより、ヒ素の固定化に成功した。また、スコロダイト種結晶の成長過程をモニタリングすることで、バイオスコロダイトの種結晶としての優位性および安定性における優位性を示した.なお、銀添加によるケミカルリーチングの最適条件下では、30℃24時間でCu浸出率75%を達成した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究実施計画をほぼ終了しており、おおむね順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
難処理硫化鉱の新しい分離法等のメカニズムを明らかにできたことから、より効率的な分離方法、条件などについて明らかにし、実用化の可能性も含めて研究を行っていく予定である。
|