研究実績の概要 |
本研究では,これまで煩雑ながらも不可避とされてきた「シード」(作動気体への金属蒸気の微量添加)のフリー化という既成概念を大きく転換するブレークスルーを,本研究代表者の過去から最新にわたる一連の独創的な研究成果に立脚して達成し,「シードフリー環境適合型クリーンMHD発電」の実用化に向けた新たな突破口を開く基盤を構築することを目的としている。本年度(平成28年度)は,当初の予定どおり,まず1)リニア形状ファラデー形MHD発電機でのXe(キセノン)作動気体による低温度動作化実証実験[(1) M.Tanaka, Y.Aoki, L.Zhao, Y.Okuno, IEEE Trans. Plasma Science, Vol.44, No.7, pp.1241-1246 (2016.7)] ならび数値シミュレーションによる作動気体依存性の把握と高性能化指針の明確化[(2) M.Tanaka, Y.Okuno, Journal of Propulsion and Power, Vol.32, No.4, pp.1009-1014 (2016.7)]を行った。また2)予備電離・プラズマ制御手法の基礎技術の構築に取り組む [(3) M.Tanaka, Y.Hitotsubashi, Y.Okuno,14th International Energy Conversion Engineering Conference, AIAA-2016-4522, Salt Lake City (2016.6)] とともに,数値解析において,より詳細なプラズマ生成モデルを構築した[(4) R.Takahashi, T.Fujino, Y.Okuno,同上, AIAA-2016-4523, Salt Lake City (2016.6)]。これらの成果は,高周波予備電離手法によるシードフリー希ガスプラズマMHD発電の実現に向けての重要な基礎となり,来年度以降実施する高周波予備電離プラズマMHD発電に関する実証基礎実験に資するものとなった。
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