研究実績の概要 |
本研究では,MHD(電磁流体力学)発電において,これまで煩雑ながらも不可避とされてきた「シード」(作動気体への金属蒸気の微量添加)のフリー化という既成概念を大きく転換するブレークスルーを,研究代表者の過去から最新にわたる一連の独創的な研究成果に立脚して達成し,「シードフリー環境適合型クリーンMHD発電」の実用化に向けた新たな突破口を開く基盤を構築することを目的としている。 最終年度となる本年度は,連続運転での実用作動気体温度 2200-2400K におけるシードフリー希ガスプラズマMHD発電の実現可能性を世界に先駆けて実証する[中根嵩幸,上東勝哉,岩本拓也,奥野喜裕「高周波予備電離希ガスプラズマMHD発電の実証基礎実験」電気学会論文誌B, 139巻, 4号, pp.269-274 (2019.4) DOI: 10.1541/ieejpes.139.269]とともに,数値解析から,発電性能,特に等エントロピー効率の向上と予備電離電力の低減が同時に達成可能であること[鈴木甫,奥野喜裕「予備電離希ガスプラズマMHD発電機における断面積比依存性」電気学会論文誌B, 140巻, 3号, pp.204-209 (2020.3) DOI: 10.1541/ieejpes.140.204],また商用規模高性能発電機の設計指針ならびに運転条件を明確した[伊藤創志,高橋徹,藤野貴康,奥野喜裕「凍結希ガスプラズマMHD発電機の数値設計手法の検討」電気学会論文誌B, 140巻, 3号, pp.229-237 (2020.3) DOI: 10.1541/ieejpes.140.229]。本研究では,当該技術の実用化に向けて多くの有益な指針を提示するとともに,今後解決すべき課題を明確に抽出し,高性能化実証を目指す将来研究への発展に資する基盤を確立した。
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