研究課題/領域番号 |
15H02350
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松崎 政紀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50353438)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経科学 / 2光子イメージング / 運動学習 / 運動野 |
研究実績の概要 |
哺乳動物における運動学習の回路動作原理を解明することを目的とし、一次運動内、そこに入力する信号と出力される信号を系統的に調べその関連と運動学習における役割を明らかにしようとしている。今年度は、主として高速3次元2光子カルシウムイメージング法を前肢レバー運動課題を実行するマウスの視床皮質軸索に対して適用して実験を行った。視床にAAV-GCaMP6を導入し、視床からM1へ入力する軸索活動を運動課題実行中に2光子カルシウムイメージングによって計測した。一枚のイメージング画像ではマウスがレバーを引いたり押したりする時に、1 μmでの画像揺れも許されない。そこで、イメージング焦点面のZ軸数μm上下の画面も高速3次元走査によって取得し、これを用いてZ軸中心のイメージ画像からZ軸がどれだけ揺れたかを推定し補正するアルゴリズムの初期バージョンを完成させた。しかし、微細構造である個々の軸索終末の活動時系列を解析するためには、まだ補正が不十分であったため、計画を28年度に繰越して画像補正法のさらなる改良を行った。各画像フレームの揺れを数値化して客観的に評価し、解析可能な画像を選択できるようにし、さらに光軸方向のずれの補完アルゴリズムも改良した。また計画を28年度へ繰越したことで解析可能なデータ数を増やすことが出来た。これらによって、運動野への入力軸索活動の学習に伴う変化をより正確に定量化することに成功した。また軸索活動とレバーの関係を定量的に評価する解析方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視床皮質投射軸索の活動変化に関わる実験データを増やし、また画像補正法の精度をより上昇させることで、運動野への入力軸索活動の学習に伴う変化をより正確に定量化し、統計学的な有意なレベルで学習関連活動変化を見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、視床軸索活動が大脳基底核や小脳からの信号を反映するものなのかどうかを明らかにしていく予定である。また視床皮質軸索が運動野で形成するシナプスを可視化することを試みる。
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