哺乳動物における運動学習の回路動作原理を解明することを目的とし、一次運動野内と一次運動野に入力する信号と出力される信号を系統的に調べその関連と運動学習における役割を明らかにしようとしている。今年度は、高速3次元2光子カルシウムイメージング法を線条体や小脳が視床皮質軸索の活動に影響を与えられるのかを検出することに適用し、これを明らかにすることができた。運動関連領野を破壊したマウスにおいて、前肢レバー引き運動課題を学習させ、その行動に与える影響を学習前期から学習後期まで計測し定量化することができた。その結果、破壊マウスにおいては本課題の学習が著しく阻害されていることがわかった。また新しい顕微鏡技術を開発して、視床軸索が投射する広域大脳皮質での活動を計測可能なイメージング法を確立した。実際には1光子高解像度イメージングとカルシウムイメージングを組み合わせて、単一軸索の空間解像度が失われているが高速にすることができた。得られた画像から機械学習の手法を用いてそれぞれの大脳皮質領域での活動の相違を明らかにすることを可能とした。イメージング方法やカルシウム蛍光プローブの組み合わせを工夫することで、3週間以上の長期学習中の細胞活動を安定的に計測することが可能になりつつある。さらに視床から運動野の錐体細胞の樹状突起へのシナプス投射部位を可視化する実験系を確立し、学習に伴う変化を計測可能とし現在解析を進めている。
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