研究課題
本研究ではこれまでに、Reelinが皮質神経細胞の凝集を誘導できること、また、原子間力顕微鏡を用いた直接的な定量により、確かにReelinによって細胞膜表面のN-カドヘリン依存的な接着力が増強されることを明らかにした。そこで本年度は、発生期の脳においてReelinが産生される辺縁帯直下における細胞構築の詳細を検討した。辺縁帯の直下にはNeuN陰性の比較的未成熟な神経細胞が濃縮した帯状の領域 ‘primitive cortical zone (PCZ)’ が存在することを見出して命名したため、まずは電子顕微鏡を用いてPCZの神経細胞同士がどのように接着しているのかを調べた。その結果、PCZを構築する神経細胞は辺縁帯に対して法線方向に並んでいる傾向があり、互いに細胞体で直接接していることが分かった。この神経細胞集団を‘primitive neuronal cluster’と命名した。このクラスターは概ね法線方向に3~7個 、接線方向に1~2個並んだ細胞で形成され、主にはNeuN陰性の未熟な神経細胞で構成されていた。次に、クラスターを形成する神経細胞の誕生時期を連続子宮内電気穿孔法等を用いて調べた。その結果、早生まれの神経細胞は、遅生まれの神経細胞が取り込まれるにつれてクラスター内で深い位置に移っていくことが分かった。さらに抑制性神経細胞を蛍光ラベルしてクラスターとの関係を調べたところ、抑制性神経細胞も興奮性神経細胞と接してクラスターの中に存在することが分かった。平均6個の神経細胞で形成されるクラスターの中に、抑制性神経細胞は平均0.7個含まれていた。さらに、類似したクラスターはマウスだけではなく、ヒトを含む霊長類でも存在することが分かった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (40件) (うち国際学会 12件、 招待講演 13件) 図書 (1件)
Journal of Comparative Neurology
巻: 527 ページ: 1577~1597
10.1002/cne.24634
The Journal of Neuroscience
巻: 39 ページ: 678~691
10.1523/JNEUROSCI.1634-18.2018
脳科学辞典
巻: - ページ: -
10.14931/bsd.7497