研究課題
1. TDP-43の蓄積と疾患特徴的病態形成機構核タンパク質のTDP-43は、ALSや前頭側頭葉変性症(FTLD)患者で線維化、凝集し、リン酸化やユビキチン化を受けて蓄積する。TDP-43のC末側領域の部分欠損体を作製し培養細胞に発現させ、その凝集に関係する配列を同定した。さらにその領域のペプチドを合成し、線維化、凝集傾向を調べた結果、274-313、314-353のペプチドが線維化しやすいこと、さらにはそれぞれのペプチド線維は細胞内の正常TDP-43を異なる構造の異常型TDP-43に変換することが示された。以上の結果は、C末端の重合領域の違いによって構造の異なる異常型TDP-43が形成されることを示唆する。得られた知見は、TDP-43凝集モデルの構築、ALS/FTLDの治療薬開発に役立つことが期待される。2. プリオン様伝播の原因となるαシヌクレイン(αS)分子種パーキンソン病(PD)やレビー小体認知症(DLB)の特徴病理を形成し、その病態進行に関わるαSについて、どのような性状の分子種がプリオン様伝播を引き起こすか検討した。精製リコンビナントヒトαSを様々な条件下に置いて分子形態や性状を観察し、プリオン様活性を細胞モデルおよび野生型マウス脳への接種実験により調べた。その結果、アミロイド様線維構造をもつαSのみがシード活性を有し、異常リン酸化αS病理を引き起こすことが示された。次に線維を超音波処理し、処理時間の違いでシード活性が変化するか検討した結果、試験管凝集系、細胞モデル、マウス脳への接種実験のいずれにおいても、超音波処理の時間が長く、断片化αS線維の量が増加するほどシード活性が高くなることが示された。
2: おおむね順調に進展している
TDP-43の凝集に必要な配列の同定に成功し、それを用いて培養細胞モデルを構築することができた。またαSについては、プリオン様伝播をもっとも効率よくひきおこす分子種を特定することができ、今後の他のタンパク質のプリオン様伝播モデルの構築に役立つものと思われる。
今後、これらの実験系を利用して、タウやTDP-43のプリオン様伝播動物モデルの構築を試みる。特にTDP-43については成功例の報告がなく困難が予想されるが、単純な実験として、線維化した合成ペプチドを野生型、あるいは変異TDP-43などを発現する遺伝子改変マウスの脳に接種し、マウスの脳内に発現する正常TDP-43が異常型に変換するかどうかについて検討する。またαSについては蛍光色素などを用いてその可視化を試みる。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 備考 (3件)
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